研究課題
特別研究員奨励費
Ia型超新星はどれも同じような性質を示すと期待されているが、実際には一つ一つに個性がある。例えば、どのIa型超新星も最大光度時に全く同じ(絶対的な)明るさになる訳ではない。遠方宇宙における距離指標としてIa型超新星を用いるためには、この明るさのばらつきを補正する必要がある。そこで、ピーク時に明るいIa型超新星ほどピーク後にゆっくりと減光するという、明るさと光度曲線の幅の相関関係(Phillips則)を利用する。この関係は経験則であり、理論的には完全には説明できていない。Phillips則に従う普通のIa型超新星と比べ、明るさは大きく変わらないがピーク後の減光が遅いla型超新星が存在する。その理由として、爆発モデルや放出物質中の光子の伝搬の違いを指摘する研究はあるが、理論的にはまだ分かっていない。SN2011aaは、減光が遅いIa型超新星の1つである。また、明るさと減光の遅さが、母銀河による減光を無視したSN2006gzに近い。SN2006gzは極めて明るいIa型超新星に分類されるが、母銀河による減光の程度が正確には分かっていない。SN2011aaとSN2006gzの類似性から着想し、極めて明るいIa型超新星を説明する理論モデルでSN2011aaの特徴の説明を試みた。この理論モデルは、観測から示唆される大量のニッケル56(Ia型超新星の光源)を説明するために、爆発した白色倭星がChandrasekhar質量を超えていたとするものである。この超Chandrasekhar質量の爆発モデルを用い、輻射流体計算を行った。その結果、昨年度までに得られた極めて明るいSN2009dcのような極端さはないものの、減光が遅いSN20011aaは超Chandrasekhar質量のモデルである程度説明できることが初めて分かった。
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Proceedings of the International Astronomical Union
巻: 7(S281) 号: S281 ページ: 253-260
10.1017/s1743921312015165
巻: 7(S281) 号: S281 ページ: 314-315
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Proceedings of Science
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博士論文
The Astrophysical Journal
巻: 756(2) 号: 2 ページ: 191-191
10.1088/0004-637x/756/2/191