研究課題/領域番号 |
10J07670
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学(英文学を除く)
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
滝沢 明子 明治学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ロラン・バルト / 自伝 / 日記 / モーリス・ブランショ / アンドレ・ジッド / カフカ / 20世紀フランス文学 / ブランショ / サルトル / フランス文学 / 20世紀文学 / 言語行為論 / 生の作品化 / 写真と文学 |
研究概要 |
本年度は、広い意味で自伝的エクリチュールのひとつとみなすことができる日記にかんする研究を行った。バルトにとって日記とは文学の不可能性を端的にあらわすものであったことを示し、また、そのようなバルトの思考が、モーリス・ブランショの日記論と通底していることを示した。 晩年のバルトには、1940-50年代のブランショの思想の影響が顕著にみてとれる。ブランショは『踏みはずし』、『火の部分』そして『文学空間』において、日記にかんする多くの論考を著しており、その関心は作品の追求として書かれる日記に注がれている。ブランショはジッドの『日記』に大いに興味をよせるが、最終的にカフカの『日記』が文学創造の経験として本質的であるとみなすようになる。そして、カフカの書きたいという欲望とその挫折のうちに、「書物の不在」をみる。バルトとブランショに共通する日記への関心に着目したとき、バルトが「省察」のなかで、ジッド的な日記を書くことをあきらめると同時に、理想の日記としてカフカの『日記』をあげていることの重要性が明らかになる。文学は到達不能の地点でしかありえず、バルトの小説の探求には、作品の完成をあくまで遠ざけようとする否定的な動きがつねに働く。カフカの『日記』と同じように、『小説の準備』もまた、作品の探求それ自体を文学の本質としている。バルトにおける「小説の不在」は、ブランショの思想を反映した「否定文学」の実践として位置づけられる。
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