研究課題/領域番号 |
10J07852
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
合成化学
|
研究機関 | 岡山大学 (2012) 東京工業大学 (2010-2011) |
研究代表者 |
村井 征史 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2012
|
研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 亜鉛ポルフィリン / 酸化還元 / ヘテロ不飽和結合 / 電荷移動動錯体 / 光誘起電子移動 / 分子ワイヤー / ポルフィリン / 協奏機能 / 電荷分離錯体 |
研究概要 |
複数の金属錯体を適切に組み合わせることにより、各金属の機能の足し合わせに留まらない相乗効果が発現することが、近年の研究により明らかにされている。このような背景の中、本申請者は酸化還元活性な有機金属錯体と、カルベン移動反応や酸化反応を始め、種々の触媒活性を有するメタロポルフィリンに着目した。これらのユニットをπ共役で連結することで得られる多核錯体は、各ユニット間の電子的な相互作用が可能になるため、ヘテロ不飽和結合の活性化においてポルフィリン部位の電子状態が精密に制御可能であり、上記の協奏機能効果を期待することができる。具体的な研究成果を、以下に二点示した。 ・金属フラグメントからのπ逆供与により電子密度が向上したポルフィリン環が、種々の電子不足アクセプターとスタッキングを介した自己組織体を形成することを見出した。また、金属フラグメントの酸化一還元に伴う光誘起電子移動により、ポルフィリン環の発光のON/OFFが可逆的にスイッチ可能であることを明らかにした。 ・酸化一還元活性な二つの金属フラグメントをエチニル基を介して亜鉛ポルフィリンと連結した三核錯体が、分子ワイヤーとして良好な電子伝達能を有することを見出した。さらにヘテロ不飽和結合を有するドナー分子のポルフィリンとの相互作用により、それらの性能が調整できることを見出した。 上記の電荷分離錯体やスタッキングによる複合化を利用すれば、ヘテロ不飽和結合を有する基質の触媒反応中心であるポルフィリン環への接近・固定が可能となることが予想され、新規高度活性化につながる極めて有用な知見を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初目的としていた複数の金属錯体により発現する協奏機能や相乗効果の発現の確認に加え、金属ポルフィリンの集積構造の制御に成功したため。一般に多環芳香族化合物は集積による効率的な分子間π電子相互作用により、単一分子では見られない協奏機能を示すことが知られており、ヘテロ不飽和結合を有する基質の触媒活性化に対し、当該年度は自己組織化を利用する新たな研究方針を得ることができたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
酸化還元活性な金属フラグメントとメタロポルフィリンとを連結した種々の異種多核錯体を合成し、ヘテロ不飽和結合を有する基質の選択的な活性化を検討する。DFT法により活性化における機構の理論計算による考察も随時行う予定である。
|