研究課題
特別研究員奨励費
マイクロ流体デバイス技術はこれまで、生体分子や細胞、組織といった生体サンプルを生体外(ex vivo)で操作、計測するためのバイオ分析ツールとして主に発展してきた。しかし、細胞の生体内での本来の機能は、細胞周囲の環境や他の細胞との相互作用に大きく影響されるものが多い。そこで、マイクロ流体デバイス技術の応用範囲を生体内(in vivo)細胞の分析にまで拡張できれば、生物学、医学の発展の基盤となる新たな研究ツールを提供できるものと期待される。以上の背景の下、本研究は、マイクロ流体デバイスの分析対象を動物個体へと拡張した「埋め込み型マイクロ流体デバイス技術」を提唱し、埋め込み型デバイスに特有の設計指針の導出、要素デバイス技術の開発、及び試作デバイスによる有用性の実証を行った。具体的には、マウスを用いる神経科学研究に利用するための埋め込み型デバイスの実現を目指して、物理的、物理化学的、ならびに生物学的観点から求められるデバイスの設計指針を明らかにし、さらに、埋め込み型デバイス特有の課題を解決するべく適正化されたデバイス製造技術とデバイス設置手術を開発し、マウス頭部に埋設可能な光学観察、試薬投与機能をもつマイクロ流体デバイスを試作した。その結果、神経科学分野でこれまで技術的に困難とされてきた試薬投与を伴った状態での生きたマウス脳組織の長期経過観察を達成し、埋め込み型マイクロ流体デバイス技術の有用性を示した。
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Applied Physics Express (APEX)
巻: 6 号: 3 ページ: 37201-37201
10.7567/apex.6.037201