研究課題/領域番号 |
10J08084
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
動物生理・行動
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河合 喬文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 嗅覚系 / GnRH / アセチルコリン / 神経修飾 / 終神経 / パッチクランプ / バースト発火 / キンギョ / 神経科学 / 嗅球 / 電気生理学 / 終神経系 / ドーパミン |
研究概要 |
申請者は、個体が環境変化に応じて自らの嗅覚応答性を最適化する機構に関してこれまで研究を行ってきた。前年度までに、申請者は嗅覚系の実験動物としてよく用いられるキンギョを使用し、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)と呼ばれる神経ペプチドが、嗅覚系神経回路の情報処理に対して促進的に作用するという現象を見出した。 そこで今年度は、GnRHを嗅覚系神経回路へと放出する役割を担う終神経GnRHニューロンに着目し、これらの神経活動を制御する仕組みについて検証を行った。その結果、終神経GnRHニューロンへ投射する抑制性シナプス入力により、普段は規則的な発火活動を示している終神経GnRHニューロンが高頻度発火(バースト発火)モードに切り替わるという現象が認められることが分かった。この高頻度発火は終神経GnRH系がGnRHを放出する隙に重要であると考えられている。そのため、次にこれらの現象をもたらす仕組みについて研究を進めた。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)この抑制性シナプス入力はアセチルコリン作動性入力により、終神経GnRHニューロン上のムスカリン型アセチルコリン受容体が活性化することで引き起こされること。(2)過分極応答はK+の透過性増大によってもたらされること。(3)この過分極応答により、電位依存性Naチャネル及びCaチャネルの不活性化が外れ、持続的脱分極が生じることで高頻度発火がもたらされること。 今回示した現象は神経生理学的に見ても非常に珍しく、本研究によりその機構の解明まで至ることができた。以上の一連の仕事内容については現在論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の研究目的においては、終神経GnRH系の活動により、嗅覚系神経回路が調節される機構について研究を進める予定であった。本研究では、終神経GnRH系の活動を調節する仕組みから、GnRHにより嗅覚系神経回路が調節を受ける機構までを包括的に明らかにしており、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は終神経GnRH系の活動がどのような環境変化、具体的にはホルモン状態や感覚系入力によってその活動を変化させるのかについて解析することが望まれる。この問題を解決するには慢性下の個体の終神経GnRHニューロンから電気記録を取る方法が最も理想であるが、この手法には技術的困難さが付きまとう。この代替案どして、遺伝子組み換えメダカおよびゼブラフィッシュを用いてイメージング技術により終神経GnRHニューロンの活動を外部かうモニタするという手法も挙げることが出来るであろう。
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