研究課題/領域番号 |
10J08101
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
放射線・化学物質影響科学
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 (2011) 東京農工大学 (2010) |
研究代表者 |
水川 薫子 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | PBDEs / PCBs / 脱臭素化 / 水酸化 / fish / rat / 代謝 / 薬物代謝酵素 / bioaccumulation / 底性魚 / 肝ミクロソーム / bioavailability |
研究概要 |
本研究では、震災の影響により予算申請時の研究を実施することが困難であったため、計画の変更を行いPBDEsの生体内における脱臭素化をより詳細に調べるために平成22年度に実施した実験の発展を試みた。 本実験では、平成22年度にも用いたマコガレイについて、肝ミクロソーム画分のほかに肝サイトソル画分、また両者を分離する前の肝S9画分による、PBDEsの脱臭素化実験を実施した。これは、ミクロソームに存在する脱ヨウ素酵素(DI)が脱臭素化に関与しているとの仮説を検証するとともに、S9画分を用いた実験手法で脱臭素化を評価することにより、より簡便な化学物質リスク評価手法としての提案を視野に入れたためである。用いたPBDEは、平成22年度の実験で最も脱臭素化をしやすい同族異性体であった5臭素のBDE99とした。結果、BDE99が脱臭素化をして4臭素のBDE47-BDE49を生成する「脱臭素化率」は、予想をしていたミクロソーム画分よりもサイトソル画分の方が高く、S9画についてもサイトソル画分と同程度であった。これは、DIが脱臭素化に関与しているという仮説と矛盾する結果となり、今後注目していくべきポイントであると言える。 本実験ではさらに、PBDEsの脱臭素化とその他の代謝経路との違いについて研究を行った。PBDEsの脱臭素化率が同種の魚類でも生息域によって異なるという知見より、化学物質暴露によって脱臭素化を決定づける酵素の誘導が生じている可能性を検証するためである。また、PCBsの水酸化反応ではCYP誘導と水酸化位置に法則性があり、PBDEsの脱臭素化位置についても同様の傾向があるかを確認すべく、本実験を実施した。2種のCYP誘導済みラット肝S9を購入し、BDE99/CB99、BDE100/CB100について脱ハロゲン化と水酸化を比較した結果、CYP誘導によるPBDEsの脱臭素化に差はみとめられず、魚類では脱ハロゲン化をしやすかったPBDEsに対してラットではPCBsのほうがより水酸化を受けた。 以上より、PBDEsの生体内における代謝にはDIの関与やCYPの関与の可能性が低いことが示唆され、何によって起因するかを今後も追究をしていきたいと考えている。
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