研究課題/領域番号 |
10J08168
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)(実験)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 剛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 励起子 / 絶縁体金属転移 / 電子正孔系 / 半導体 / テラヘルツ / シリコン / 励起子BEC / 電子正孔BCS状態 |
研究概要 |
間接遷移型半導体における量子凝縮相実現のために、本年度は、比較的高温で起こる励起子モット転移について精力的に研究し、一定の成果を上げることに成功した。間接遷移型半導体Siにおける励起子モット転移については、様々な励起密度における自由キャリア及び励起子の振る舞いを、各々の成分の密度及び散乱確率を定量的に求めることにより考察し、転移密度近傍における自由キャリアの強い相関の発現や、縦波共鳴モードにおいて励起子とプラズモンが結合することなどを明らかにした。さらに、広い温度・密度領域において、イオン化率を求めることで、Siにおける、励起子モットクロスオーバー領域における相図を決定した。イオン化率の振る舞いを見ると、高温領域では、サバ方程式に半定量的に従い、励起子と自由キャリアの割合が、熱力学的安定性に従って決まっていることが分かった。一方、低温領域においては、遮蔽効果が顕在化し、励起密度の上昇と共に励起子が解離していく様子が表れ、低温になるほど、より急峻にイオン化率が上昇する様子が表れた。このことは、一つの可能性として、より低温で予言されている一次転移の前兆の可能性を示唆する結果であると考えられる。直接遷移型GaAsにおける励起子モット転移の研究では、波形整形技術の開発により、励起子共鳴励起が可能になった。励起子共鳴励起下での振る舞いは、励起子の応答が過渡的に観測されるものの、非常に不安定であり、わずか5ps後には解離していく振る舞いも観測された。しかしながら、励起子の応答は、モット密度以上でも表れ、かつ1s-2p遷移エネルギよが変化しないことから、Siで見出された励起子の頑強さは、GaAsにも共通する普遍的なものである可能性を示唆する結果である。このように本年度は、励起子モット転移を詳細に調べ、量子凝縮相実現のために、有益な情報を得ることができた。
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