研究概要 |
「内容」 本年度は,金属/誘電体多層構造を用いた導波型プリズムを実際に作製し,プリズムに光を入射させて,その射出角度および波長分散性を調べた.実験では,0次回折光が存在せず,1次回折光のみ射出されることや,波長変化に伴って射出角度が変化することが確かめられた.また,光が金属/誘電体多層構造を通過した際に起こる表面反射も含めたエネルギー損失について,実験で確かめるための光回路の構成を検討した.金属/誘電体多層構造を用いたレンズについても作製できており,その集光効率を確かめるための光回路構成について検討している.さらに,金属/誘電体多層構造の作製手法を応用して,アスペクト比が高い赤外線偏光素子の作製が可能であることが確かめられた。 「意義」 「研究の目的」に記述したようにシリコンフォトニクスへの応用を鑑みて金属/誘電体多層構造をSOI(Silicon On Insulator)基板上に作製し,「研究実施計画」通りプリズムの原理検証を行った.また,金属/誘電体多層構造の表面反射を含めたエネルギー損失を見積もることは,どの程度のサイズの素子なら実用化可能かということの判断材料となり,意義がある. 「重要性」 SOI基板上に作製した素子の原理検証をする手法を確立し,金属/誘電体多層構造を用いた波長分散素子がシリコンフォトニクスへ応用できる可能性が確かめられた.このような検証手法を確立する際に得られた知見のいくつかは,金属/誘電体多層構造を用いたプリズムだけでなく,同構造を用いたレンズ等の検証にも応用できる.
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