研究概要 |
コンピュータによるデータ解析が一般的になってきた近年では,大規模かつ複雑なデータを統計的に処理する必要性が増している.機械学習と呼ばれる分野では多様なデータに潜む規則性や有益な情報をコンピュータによって自動的に抽出するアルゴリズムの開発を目指す.その中でも本課題ではカーネルマシンと呼ばれる多変量解析の手法について研究を行っている.カーネルマシンは有用なデータ解析法ではるが,実際にはその最適化の計算コストが大きな問題となる場合がある.本研究ではカーネル法における効率のよい最適化アルゴリズムの開発を行い,その有効性を示してきた. 本年度は特に(1)データの重要度変化に対する高速最適化法の研究,(2)カーネルマシンの非線形パス追跡,(3)近似解追跡によるパス追跡高速化,(4)カーネルマシンのためのデータ次元削減法,の4つのトピックについて研究を実施した.それぞれのトピックについてカーネルマシンの最適化効率を様々な場面で向上させる基礎アルゴリズムの開発を行い,そのいくつかについては実用的な応用事例についての考察も行った.各分野でデータの肥大化が進み,高速な解析アルゴリズムが求められている昨今の状況を鑑みるに,この功績は社会的な意義があると考えている. また,今年度の研究実施計画に則って各トピックについて国際学会や国際論文誌での発表・投稿を行った.(1)に関しては国際会議MLSPで発表を行い,論文誌に投稿した.(2)に関しては論文誌IEEE Trans. on Neural Networkに,(3)に関しては国際会議ICMLに採録された.(4)に関しては論文の投稿を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は今年度が最終年度ではあるが関連する論文が2本査読段階にあり,いずれも十分な成果を伴っていると考えているので出版に至るまで研究を遂行する.また,本研究課題では主に基礎アルゴリズムの開発に焦点を当ててきたが,今後は開発したフレームワークの応用アプリケーションについての研究を模索していきたいと考えている.一方で基礎理論的な側面についても,近似解追跡アルゴリズム等の新たな方向性に関しては未だ発展の可能性があると考えており,より効率的な最適化アルゴリズムの開発を考察していきたい.
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