研究課題/領域番号 |
10J08776
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用微生物学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
金子 啓祐 愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 担子菌キノコ / Ca^<2+>/CaM依存性プロテインキナーゼ / 細胞内局在 / プロテインキナーゼ / プロテインホスファターゼ / タンパク質リン酸化 / ストレス応答 |
研究概要 |
Ca^<2+>/calmodulin依存性プロテインキナーゼ(CaMK)はすべての真核生物に存在し、動物では神経機能の調節、植物においては微生物との共生の制御にかかる。一方で、真菌類におけるCaMKの機能はほとんどわかっていない。これまで我々は担子菌Coprinopsis cinereaの新規CaMK遺伝子CoPK12を同定した^<(1)>。CoPK12は担子菌キノコ特有の活性化機構を有しており、その活性がC. cinereaの菌糸成長と関わることが示唆された。当該年度では、CoPK12が担子菌キノコ特有の細胞内局在を示すCaMKであることを明らかにした。 菌糸細胞を細胞分画したところ、CoPK12は菌糸細胞の細胞膜に局在していた。一方で、内在性プロテアーゼによって生じる46kDaの分解断片は細胞質に局在していた。 in silico解析によりCoPK12はN-ミリストイル化を介した脂質修飾を受けることが推測された。そこで、放射性同位体を用いたin vitroN-ミリストイル化アッセイによりCoPK12のN-ミリストイル化の可能性を調べたところ、CoPK12は有意にN-ミリストイル化を受けることが明らかになった。 酵母細胞に発現させたCoPK12は細胞膜に局在したが、N-ミリストイル化部位を変異させたところ、細胞内局在が細胞質に変化した。このことから、CoPK12はN-ミリストイル化を介して細胞膜に局在するCaMKであることが示唆された。 CaMKの多くは細胞質に局在することが知られており、N-ミリストイル化を受けるCaMKは前例がない。さまざまな生物種のCaMKのアミノ酸配列を用いてアライメント解析を行ったところ、担子菌キノコのCaMKが特異的にN-ミリストイル化を受けることが示唆された。一方で、担子菌キノコのCaMK間でN-ミリストイル化周辺のアミノ酸配列がほとんど相同ではなかった。このことから、担子菌キノコのCaMKの膜局在は、それぞれの遺伝子が独自に進化したことによるものだと考えられた。 これらのことから、CoPK12の膜局在化は担子菌キノコ特有の現象であることが強く示唆された。 (1)Kaneko K. et al. Siochim. Biophys. Acta 1790 (2009) 71-79.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
担子菌キノコの菌糸成長に関与すると考えられるCoPK12の細胞内局在を明らかにすることができた。一方で、細胞内局在の生理的機能についてまだ明らかにすべき点が残されているため。
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今後の研究の推進方策 |
CoPK12が細胞膜に局在することを明らかになったため、CoPK12が介在するシグナル伝達は膜上で行われているものと推測される。そこで質量分析計を用いて、細胞膜タンパク質を基質にしたCoPK12の生理的標的因子を網羅的に同定する。
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