研究課題/領域番号 |
10J09620
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
服部 一輝 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1) (40708575)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | MAPキナーゼ / ASK1 / 褐色脂肪組織 / ASK3 / マイクロアレイ / 浸透圧応答 / pull-downアッセイ |
研究概要 |
個々の細胞は、細胞外からの様々なストレスに対抗する手段のひとつとしてストレス応答性Mitogen-activated protein kinase (MAPK)経路を有している。Apoptosis signal-regulating kinase 1 (ASK1)は、MAPK経路の最上流に位置するMAPK kinase kinase (MAP3K)に属する分子であり、近年ASK1とアミノ酸配列上高い相同性を持つASK3を当研究室において同定した。 DNAマイクロアレイ法の実験結果を元に、研究開始当初はASK3の腎臓および脂肪組織における機能解析を行った。 その結果、ASK3欠損マウスの脂肪組織においていくつかの遺伝子の発現レベルが変化していることを見出した。しかしながら様々な実験を行う過程において、ASK3のファミリー分子であるASK1を欠損したマウスの脂肪組織において、より顕著な変化が引き起こされていることを見出した。 すなわち、ASK1欠損マウスの褐色脂肪組織において、複数の体熱産生系遺伝子の発現が抑制されていたのである。 褐色脂肪組織は白色脂肪組織とは異なり、熱産生を伴いエネルギーを消費する組織であると言われており、成人においても存在することが近年証明されつつある。エネルギー消費能を持つということからこの組織は、肥満症などといった代謝性疾患の一つの重要なターゲットであると認識されている。 今回見出した、ASK1欠損による体熱産生系遺伝子の発現低下という現象は、初代培養褐色脂肪細胞系を用いた実験においても確認されている。現在、ASK1がどのようなメカニズムで体熱産生系遺伝子の発現制御に寄与しているか、詳細な解析を行なっている。これらの研究成果が、ヒトのエネルギー消費を促すことをターゲットとする創薬研究の分子基盤となることを期待したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ASK3に注目をした研究からASKファミリーと脂肪組織という観点で研究を行い、今回新たにASK1の褐色脂肪組織における新規機能の解明に成功した。ASK1の生理的意義の解明という点において今後の発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは個体レベルでの解析を中心に行なってきたため、今後はより詳細な分子メカニズムの解明を目標とする。 そのための方策として、脂肪細胞の初代培養系の導入に既に成功している。
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