研究課題/領域番号 |
10J09836
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 名古屋市立大学 (2012) 独立行政法人国立長寿医療研究センター (2010-2011) |
研究代表者 |
堀 由起子 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科・病態生化学教室, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / アポリポ蛋白 / アストロサイト |
研究概要 |
アルツハイマー病(AD)の発症メカニズムとして、脳内に産生されたアミロイドβペプチド(Aβ)が線維化し蓄積する過程が神経細胞死を招くというアミロイド仮説が広く支持されている。また、脳内にはAβと相互作用する分子が知られており、特に孤発性ADの発症機序を解明する上で、このような分子がAβの存在様式に及ぼす影響を解明することは必須である。さらにAβのみならず、そういった分子自体の動態もAD発症機構の解明には重要と思われる。申請者はこのような分子の中で、特にその遺伝多型の一つがADの強力な危険因子であるアポリポ蛋白E(apoE)に着目している。apoEは脳内でアストロサイトによって産生されることから、グリア細胞もまたapoEの産生を介しAD発症に関与している可能性を考え、グリア細胞に対するAβの障害性について、特にapoEの動態に着目して検討を行っている。 昨年度、Aβ aggregatesの投与でapoE分泌量が減少することを見出した。今年度は、この現象がADの病態形成にどのように影響するのかを検討するために、神経細胞とアストロサイトを別々のレイヤーで、かつ同一の培地中で共培養する実験を行った。まずAβを投与しなかったアストロサイトと共培養すると、障害を受けた神経細胞のシナプス蛋白のリカバリーが確認された。次に、様々な凝集状態のAβをあらかじめ投与したastrocyteと共培養してみると、monomerAβではなくAβ aggregatesを投与したアストロサイトの場合シナプス蛋白のリカバリーが抑制された。さらにapoEノックアウトマウス由来のアストロサイトでは、Aβ aggregatesを投与しなくても共培養した神経細胞のシナプス蛋白のリカバリーが見られなかった。 以上の結果は、アストロサイトはシナプスの機能維持に影響を及ぼし、とりわけそこにはアストロサイトが分泌するapoEが重要に関わる可能性を示すと共に、Aβ、中でもAβ aggregatesがグリア細胞のapoEの動態に影響を及ぼすことで、シナプスの機能維持機構を破綻させる可能性を示唆する。このことは、Aβによるグリア細胞に対する機能障害は、apoEの動態変化を介してADの進行に関与する可能性を示すと考えられた。
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