研究課題/領域番号 |
10J10006
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
ナノ材料・ナノバイオサイエンス
|
研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
西村 智貴 北九州市立大学, 国際環境工学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | 脂質/DNA複合体 / X線散乱法 / 構造解析 / カチオン性脂質 / DNA / 遺伝子導入伝 |
研究概要 |
カチオン性脂質/DNA複合体は多彩な高次構造を形成し、その構造は遺伝子導入効率に影響を与える要因の1つと考えられるようになった。これまでTEM観察、X線小角散乱などを用いて複合体の構造解析が行われているが、脂質とDNAの複合化の熱力学やダイナミクスの理解が進んでいないことがわかっている。そこで本年度は、(1)カチオン性脂質/DNA複合体の高次構造とその形成過程を時分割X線散乱法を用いて調べた。 カチオン性脂質/DNA複合体形成の初期過程を観測するために0~15度の低温条件下で測定を行った。時分割X線散乱測定の結果、ジアミン脂質/DNA複合体の形成は、混合後73msという非常に早い時間から複合体のラメラ由来のピークが観察できた。このピークの強度は20~30秒ほどで変化が収束することが判明した。現在、この脂質に中性脂質を添加した際の影響について研究を進めている。又、研究結果は、論文投稿準備中である。 さらに本年度は、ジアミン系脂質の誘導体の1つとしてヒスチジンを頭部に有するカチオン性脂質を合成した。この脂質は、多層チューブを形成することがわかった。Au3^+の添加で脂質中のヒスチジンと錯形成し、多層チューブから単層チューブへと変化することがわかった。このチューブ上の金イオンを還元することで、粒径の揃った直径1.7nmの金コロイドを作成することができる事がわかった。このコロイドは1週間後でも凝集は観察されなかった。直径数nmの金コロイドは容易に凝集してしまうが、この系では金コロイドと脂質分子間の強い相互作用のために凝集を防いだと考えられる。この研究結果は英国化学会の物理化学誌であるPCCPに掲載された。 また今年度は英国Bath大学Tony James教授らと共同でボロン酸付加型の両親媒性分子の開発を行った。この両親媒性化合物は水-ジクロロメタンの液-液抽出での検出限界が約0.2ppmであり従来のフッ素イオンセンサーを凌ぐ性質を持つことが判明した。この結果は米国化学会のJACSに投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画通り、カチオン性脂質とDNA複合体の形成を時分割X線散乱法を用いて追跡することができた。又、本研究テーマから出た他のテーマに関しても論文化しており、順調に研究が進行したと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
カチオン性脂質とDNA複合体に加え、実際の臨床利用に近い組成である中性脂質を添加した系でのダイナミクスでも進めて行く予定である。
|