研究課題
特別研究員奨励費
今年度研究成果を項目に分けて記す。1.バンド端付近の電子状態に共鳴する励起波長を用いた過渡吸収測定により、半導体ナノ粒子におけるバンド内遷移過程を明らかにし、また1S1S,1S1P二励起子結合エネルギーに関する知見を得た。バンド内遷移過程の解明はキャリア増幅などに競合する過程の解明につながるだけでなく、高エネルギー励起電子の制御と活用につながり、高効率太陽電池作成に向けた基盤知識となる。2.Au/PbSハイブリッドコアシェルナノ結晶を用いて過渡吸収スペクトル測定の励起波長、励起光強度依存性の解析とFDTD計算から、金属-半導体ナノハイブリッド系における消失スペクトルの帰属や、コヒーレント振動モードの解明、電子-格子カップリング定数の算:出を行なった。この研究は金属-半導体ナノ接合界面を理解するひとつのモデルとなるとともに、励起子-プラズモンカップリング過程を明らかにする上での重要な基礎的な知見となる。3。CdTe/CdSe超格子ナノワイヤーにおけるキャリアダイナミクスを過渡吸収スペクトル測定により明らかにした。CdTe/CdSeヘテロナノ粒子はこれまでにいくつかの報告があったが、今回我々が用いた超格子ナノワイヤーでは、規則的な一次元構造により電荷分離状態がより高効率で生成していることを過渡吸収測定により明らかにした。4.新規非線形分光である二次元コヒーレント電子分光を習得し、CdTe/CdSeコアシェルナノ結晶におけるCdTe励起子とCdSe励起子の励起子カップリング過程の解明を試みた。二次元コヒーレント電子分光は不均一幅の影響を除外し、さらにカップリング、電子移動、エネルギー移動などの電子状態間の相互作用を二次元マップのクロスピークとしてフェムト秒オーダーで明確に明らかにできる。この手法はこれまでの手法では解析が困難であった複雑なナノ構造体や弱い相互作用の解析を可能とし、物質間のエネルギー、電荷伝達過程の解明において明確且つ有用な知見を得ることができる。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (12件) 備考 (2件)
Journal of Physical Chemistry Letters
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http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/~tamai/index.html