研究課題/領域番号 |
10J10340
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
西上 幸範 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | アメーバ運動 / アクチン / ミオシン / 人工細胞 / 細胞運動 / モデル系 / ブレブ / 細胞骨格 |
研究概要 |
アメーバ運動の運動機構としては仮足先端部分でのアクチンの重合が重要であると考えられてきたが、近年、ブレブ依存的アメーバ運動と呼ばれるもう一つの機構が多種の細胞で確認されている。しかしながら、その機構に関しては不明な点が多い。その原因としては、ブレブ依存的アメーバ運動は細胞全体が関わる運動であるため、詳細な解析や生化学的研究などが困難であるということが挙げられる。私はこのような問題を解決するために、これまで独自に開発した試験管内再構築系を用いて研究を行ってきた。この系は「細胞抽出液中にアクトミオシン溶液を注入すると、アクトミオシン溶液がアメーバ運動様の動きを示す」という系である。 再構築系と生細胞が行うブレブ依存的アメーバ運動の類似性を示すため、運動中のアクチンを蛍光ファロイジンにより可視化した。その結果、運動を行うアクトミオシン溶液では運動に先立ち、表層部分にアクチンが局在し、さらに仮足様構造の伸長方向ではアクチンの破壊が起こることが確認された。この挙動はこれまで報告されている生細胞のブレブ依存的アメーバ運動におけるアクチンの挙動と等しい。次に、アクトミオシン溶液の収縮過程を詳細に観察し、その過程にMahadevan-Pomeau Model(1999)を適用したところ、収縮過程中にはアクトミオシン溶液の表層部分が収縮し表面力を上昇させていることが示唆された。また、仮足形成過程を観察し、表面収縮力の散逸と流体力学的散逸を考慮することで、仮足形成時における表面力の相対値を見積もった。その結果、アクトミオシン溶液と表面力の関係は正の相関を持つことが分かった。したがってこの系は、仮足様構造を形成する際、界面張力といった力ではなく表層部分の収縮力を用いて新たな仮足形成を行っていることが示唆された。以上の事からこの系がブレブ依存的アメーバ運動とよく似た機構で動いていることが示された。
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