研究概要 |
Dextran Sulfate Sodium Salt(DSS)により大腸炎を誘導したマウスの腸管膜リンパ節から単離した腸内共生細菌の一つであるStreptococcusから、5Mグアニジン塩酸で処理することにより、MGL1結合性の分子を含む抽出物を得ることに成功した。さらに、この抽出物から、インゲン豆レクチンであるPHA-L4-アガロースビーズを用いて免疫沈降させた結果、MGL1結合性の分子を吸着させることが可能になった。現在、MGL1結合性の分子をSDS-PAGEにて展開し、ゲルの切り出しを行って質量分析法により解析している。野生型マウスの腸管におけるMGL1を発現している固有層マグロファージと大腸に浸潤した腸内共生細菌のStreptococcusとが直接認識することにより、抗炎症サイトカインであるInterieukin 10(IL-10)の遺伝子発現誘導が認められ、hemITAMの下流に存在すると知られているCARD9を経由することを明らかとした。そこで、私は、菌体によるMGL1を介するシグナルがhemITAMと会合するSpleen tyrosine kinase(Syk)を活性化するか否か、IL-10の発現誘導におけるSykの役割を検討した。さらに、転写因子であるNF-κB経路やMAPKs経路のp38には影響を及ぼさず、MAPKs経路のERKのみを活性化することを明らかとし、MGL1が初めてシグナルを伝えたことを裏付けになる結果であり、大変意義のある成果を得た。これまで、私は炎症を誘導したマウスの腸管から単離した腸内共生細菌に着目してIL-10の発現解析を行ってきたが、プロバイオティクスとして知られている乳酸菌においてもMGL1に対する結合性とIL-10の発現誘導活性に相関があるか否かを検討した。MGL1に結合を示したL.casei, L.gasseri, L.delbrueckii brugaricusは、大腸マクロファージにおけるIL-10の発現を誘導することを明らかとした。このIL-10の発現誘導はMgl1-KOマウス由来の大腸マクロファージではこれらの発現誘導は観察されなかった。以上のことから、マウス腸管から単離したMGL1結合性の共生細菌だけでなく、MGL1の結合性を有するプロバイオティクスが大腸マクロファージにおけるIL-10の発現を誘導する活性があることを明らかとした。明らかとし、MGL1が初めてシグナルを伝えたことを裏付けになる結果であり、大変意義のある成果を得た。これまで、私は炎症を誘導したマウスの腸管から単離した腸内共生細菌に着目してIL-10の発現解析を行ってきたが、プロバイオティクスとして知られている乳酸菌においてもMGL1に対する結合性とIL-10の発現誘導活性に相関があるか否かを検討した。MGL1に結合を示したL.casei, L.gasseri, L.delbrueckii brugaricusは、大腸マクロファージにおけるIL-10の発現を誘導することを明らかとした。このIL-10の発現誘導はMgl1-KOマウス由来の大腸マクロファージではこれらの発現誘導は観察されなかった。以上のことから、マウス腸管から単離したMGL1結合性の共生細菌だけでなく、MGL1の結合性を有するプロバイオティクスが大腸マクロファージにおけるIL-10の発現を誘導する活性があることを明らかとした。
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