研究課題
特別研究員奨励費
1年目で行なった実験結果より、アンチセンス核酸あるいは標的細胞指向型アンチセンス核酸として好ましい条件を備えていると考えられるスクアレン合成酵素遺伝子標的アンチセンス核酸を、更に数種類設計した。この新規アンチセンス核酸の標的RNAとの熱安定性をUV-meltingにより、RNaseH活性はRNaseHで処理したアンチセンス核酸を変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離することによって評価を行った。更に、リポフェクョン法によりFHモデルマウス由来の初代培養肝細胞NMuLiに導入し、リアルタイムPCRを用いて解析し、in vitroにおけるアンチセンス能の評価を行った。リアルタイムPCRには6種類のプライマーを使用し、その結果を平均化し、プライマーに依存しない値を用いることにより、より厳密にスクアレン合成酵素遺伝子の発現量の比較を行った。その結果、配列中央部にBNA修飾が施されていないアンチセンス核酸を用いることによって効果的にスクアレン合成酵素遺伝子の発現を抑制できるということが示唆された。in vitroで効果的なアンチセンス効果をしめしたアンチセンス核酸を、FHモデルモルモットに腹腔内投与した。投与日から2週間後に肝臓を摘出し、肝臓内のスクアレン合成酵素遺伝子の発現量の評価を行ったところ、より鎖長が短いアンチセンス核酸を用いることで、効果的にスクアレン合成酵素遺伝子の発現量を抑制できることが示唆された。また、このアンチセンスの投与は、高コレステロール血症の従来薬スタチンの投与量の1/5量の投与で、スタチン投与と同程度の発現量抑制効果を示した。
2: おおむね順調に進展している
本年度の計画であったモデルマウス肝細胞へのアンチセンス核酸の投与、及び効果的なアンチセンス核酸のスクリーニング、モデルマウスへの投与は計画通り遂行することができた。
マウス・モルモットへの投与実験において鎖長の短いアンチセンス核酸が効果的であるということが示唆された。この結果を受けて短鎖のアンチセンス核酸を数種類新たに設計し、再度スクリーニングを行うことによって、より効果の高いアンチセンス核酸を選択することができると期待される。
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Biochimie
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