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ケミカルバイオロジーによるγセクレターゼモジュレーターGSM-1の作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10J10622
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 生物系薬学
研究機関東京大学

研究代表者

大木 優  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2010 – 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードγセクレターゼ / アルツハイマー病 / アミロイドペプチド / GSM-1 / ケミカルバイオロジー / アミロイド・ペプチド / γセクレターゼモジュレーター
研究概要

アルツハイマー病の根本的治療薬として期待されるγセクレターゼモジュレーターの作用機序の解明を目指し、脳移行性の高く、Aβ42産生を特異的に減少させるGSM-1(Page et al.,2008 JBC)の作用機序の解明を目指し、研究を遂行した。ケミカルバイオロジー的手法を駆使し、我々はGSM-1がγセクレターゼ活性中心サブユニットであるプレセニリン1(PS1)の第一膜貫通領域(TMD1)に結合し、構造変化を誘起し作用することを見出した。
平成23年度は母骨格が異なり、Aβ42産生を上昇させる、逆の薬理作用を持つGSMであるFenofibrateに着目して実験を遂行した。Fenofibrateを基に光親和性標識プローブFen-Bの合成し光神話性標識実験を行ったところ、GSM-1と同様にPS1の第一膜貫通領域に結合することを明らかにした。またSCAMにより、FenofibrateがTMD1の細胞質側領域に特異的に構造変化を惹起することを見出した。すなわち、PS1の第一膜貫通領域はGSMの結合および薬理作用に必要であり、γセクレターゼ切断機構においてAβ42産生活性の特異的な制御をする可能性が考えられた。その分子機構の詳細を検討したところ、第一膜貫通領域がAβ42およびその前駆体として考えられているAβ45と特異的に結合することを見出した。更に、GSM-1およびFenofibrate処理によりこの結合は調節されることを見出した。これらの結果から、GSMは第一膜貫通領域とAβとの結合に影響をあたえることで、AβがYセクレターゼ内で切断を受けるプロセスを調節し、最終的にAβ42産生量が変化すると考えられた。
本研究成果により、これまで全く不明であったAβ42産生機構について、2種類のGSMの結合部位から得られた知見を基に、第一膜貫通領域の重要性を明らかにし、GSMの標的分子領域であることを示すことができた。今後のAD治療薬のラショナルデザインにおいて大きく貢献する成果であり、社会的にも重要な研究成果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の研究計画通り、γセクレターゼモジュレーターGSM-1のAβ42産生を特異的に制御する分子機序をケミカルバイオロジー的アプローチ、および生化学的アプローチを用いて世界で初めて解明した。さらに本研究においては別骨格を持つ化合物を利用することでAβ42産生制御に関わるγセクレターゼ内に存在する機能部位を明らかにし、今後のアルツハイマー病創薬研究に大きく貢献できる成果を挙げたと考えているため。

今後の研究の推進方策

本研究により、γセクレターゼモジュレーターはPS1のTMD1の構造変化を介し、γセクレターゼとAβの結合能を調節した結果、Aβ42産生を制御することを明らかにした。すなわち、TMD1は新規γセクレターゼ開発の標的領域であり、本研究で開発したAβとの結合能を評価する実験系はスクリーニング系として利用可能であるため、蛍光色素を付加したGSM-1をプローブとして利用することでTMD1と結合する新規GSM候補化合物をハイスループットに探索することが可能である。

報告書

(2件)
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Phenylpiperidine-type γ-secretase modulators target the transmembrane domain 1 of presenilin 12011

    • 著者名/発表者名
      Ohki Y, Higo T, Uemura K, Shimada N, Osawa S, Berezovska O, Yokoshima S, Fukuyama T, Tomita T, Iwatsubo T
    • 雑誌名

      The EMBO Journal

      巻: 30巻 号: 23 ページ: 4815-4824

    • DOI

      10.1038/emboj.2011.372

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Presenilin is a molecular target of phenylpiperidine-type γ-secretase modulators2011

    • 著者名/発表者名
      大木優
    • 学会等名
      The 10^<th> International Conference on Alzheimer's and Parkinson's Diseases
    • 発表場所
      CCIB Convention Center (Barcelona, Spain)
    • 年月日
      2011-03-11
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [学会発表] γセクレターゼモジュレーターGSM-1のアミロイドペプチド切断調節機構の解析2011

    • 著者名/発表者名
      大木優、肥後拓也、島田尚明、大沢智子、福山透、横島聡、富田泰輔、岩坪威
    • 学会等名
      第30回日本認知症学会
    • 発表場所
      東京、日本
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] Identification of a molecular target of γ-secretase modulator by photaffinity labeling approach2010

    • 著者名/発表者名
      大木優
    • 学会等名
      第4回次世代を担う若手医療科学シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学・武田先端知ビル(東京)
    • 年月日
      2010-11-27
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [学会発表] γ-Secretase modulator GSM-1 directly targets the N-terminal fragment of presenilin 12010

    • 著者名/発表者名
      大木優
    • 学会等名
      Society for Neuroscience 40^<th> annual meeting
    • 発表場所
      San Diego Convention Center (San Diego, USA)
    • 年月日
      2010-11-17
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [備考]

    • URL

      http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~neuropsc/

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [備考]

    • URL

      http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~neuropsc/index.html

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

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公開日: 2010-12-03   更新日: 2024-03-26  

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