研究課題/領域番号 |
10J40024
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
土田 里香 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2012年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 血管新生 / 癌の微小環境 / BMP4(Bone Morphogenetic Protein 4) / THPS-1(Thrombospondin-1) / 固形腫瘍 / 血管内皮細胞 / 傍分泌作用 / 腹腔内投与 / Bone Morphogenetic Protein 4(BMP4) / 腫瘍血管新生 / 癌微小環境 / 微小環境 / 悪性腫瘍 |
研究概要 |
本研究により、BMP4(Bone Morphogenetic Protein 4)とTHBS-1(Thrombospondin-1)が癌の微小環境において相互作用し、腫瘍抑制の機能を果たす新しいシグナル伝達経路であることを見出した。BMP4の刺激を受けた癌細胞はTHBS-1を分泌し、傍分泌(パラクライン)作用によってTHBS-1が血管内皮細胞に作用し、腫瘍の血管新生が阻害されるという機構を解明した。その経路はFlt1-チロシンキナーゼ・ノックアウトマウスを用いた実験で、主要な血管新生シグナルであるVEGF/flt1シグナルとは独立した経路であることも分かった。さらに、BMP4は腹腔内投与により十分な腫瘍抑制効果が示されると同時に、腹腔内投与であれば、腫瘍抑制効果を示す3倍量の濃度を投与しても、実験マウスでは既存の正常血管に障害を起こさないことが分かった。癌細胞は、それ自身が独自に自己増殖し、悪性化するが、その一方で、癌細胞の悪性化には、例えば、腫瘍血管新生や、免疫応答、サイトカインの作用、癌幹細胞への変化など、癌を取り巻く環境因子からの影響も看過できない。現在の癌治療は、癌細胞を標的とした化学療法、外科的手術、放射線療法を主流とし、確実にある一定の成果を収めている。しかしその一方で、これらの治療法は正常細胞や正常臓器にタメージを与え、治療後の抗がん剤耐性癌の再発や、副作用による生活の質(QOL ; Quality of life)の低下を考慮した治療法にはなっていない。本研究の成果は、発症した癌をとりまく生体内での微小環境を標的とし、癌の増殖しようとする力を削ぎ、極力、ホストである生体にタメージを与えず、なおかつ、ホスト自身の、癌を免疫的に排除する力を利用する新しい治療法に繋がるものと考えられる。
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