研究課題/領域番号 |
10J40134
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
|
研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
笠原 優子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所遺伝子疾患治療研究部, 特別研究員(RPD)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2012
|
研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2013年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2012年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 細胞移植 / 骨格筋 / 骨髄間質細胞 / 筋分化 / 筋ジストロフィー / IL-10 / モデル動物 / MSCs / ジストロフィン / 間葉系幹細胞 / 骨格筋分化誘導因子 / dog leukocyte antigen |
研究概要 |
本研究課題では、新たな細胞移植治療法の開発として骨髄間葉系幹細胞(MSCs)の骨格筋分化を誘導し、これを利用して筋線維の再生を促すといった、Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)に対する欠損遺伝子補充型の新しい細胞遺伝子治療法の確立を目指している。これまでに、イヌ骨髄由来MSCsの単離・増殖法、筋分化誘導法を確立し、イヌへの同種移植実験を行うなかで、移植細胞の骨格筋組織における長期的な生着、筋線維形成を示す移植条件を確立している(Kasahala et al., 2012)。さらに、局所投与よりも広範囲な生着を目的として動脈内投与を行い、MSCsの炎症組織への集積が可能であることを確認できた。しかしながら、実用化に向けては、移植細胞の生存・生着能や筋分化能をさらに強化する必要がある。そこで本年度は、抗炎症性サイトカインIL-10を用いることによって、MSCs移植効率の改善効果を検討した。MSCsをReoombinant IL-10と同時にマウスの左右下腿へ局所投与して4日後、生体イメージング解析においてMSCs単独で投与した場合と比べて生存細胞が多数認められた。さらに長期的な効果を検討するため、IL-1遺伝子導入を行ったMSCsを用いたところ、移植組織における生存・生着効率が著しく増加した。またこの際、MSCsの集積した組織においてのみIL-10濃度の増加が認められ、血中濃度の変化は軽微であった。以上の結果より、移植組織においてIL-10の局所発現によってMSCsの移植効率が高くなることが示唆された。生存・生着効率の改善によって、組織における移植細胞の分化効率も向上することが期待される。今後さらに、MSCsの抗炎症作用による治療効果や安全性を検証することにより、筋線維再生を目的とした細胞移植法のみでなく、抗炎症療法としての実用化も期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、抗炎症性サイトカインIL-10を遺伝子導入したMSCsをマウスへ筋肉内投与することで、IL-10による局所的抗炎症効果を利用したMSCsの移植効率を検討し、従来法よりも生着・生存効率の高い移植条件を確立することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究において、IL-10発現MSCsを用いることで筋組織への生着効率の向上が確認できたことから、今後はさらに安全性や有効性を検討することで、抗炎症効果を強化した細胞移植治療への応用が期待できる。
|