研究課題/領域番号 |
10J56032
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
根本 富美子 北海道大学, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 硫黄酸化細菌 / 硝酸還元 / 淡水湖沼 / 微生物生態学 |
研究概要 |
本研究では、湖沼底泥中に生息する大型の糸状性硫黄酸化細菌Thioplocaの包括的な理解のため、系統解析および生態学的・生理学的特性の解明を目的とした。 オコタンペ湖の試料から複数タイプのITS領域配列が得られたため、タイプごとの垂直分布を調査したが、生息地の深さによるITS領域配列タイプの違いは見られなかった。 カンボジアのトンレサップ湖で採取されたThioplocaの糸状性生物の形態観察および系統解析を行った結果、Thioplocaが熱帯域にも分布していることが初めて示された。富栄養化が深刻であり物質循環に関する研究が求められるトンレサップ湖において、窒素、硫黄、炭素の循環に影響を与え得るThioplocaの存在が確認されたことは、重要な知見であると考えられた。 プロテオーム解析によりThioplocaの生理学的特性の推定を行った。その結果、生息地において脱窒、ジメチルスルフォキシド(DMSO)呼吸および酸素呼吸活性を有し、炭酸固定を行っていることが推定された。また、細胞付近の酸素濃度の測定を行ったところ、細胞に近づくほど酸素濃度が低下する傾向がみられ、Thioplocaの酸素呼吸能が支持される結果が得られた。これらの結果は、これまで不明であったThioplocaの生理学的特性の理解を大きく前進させるものと考えられた。 Thioplocaのシース付着菌の群集構造解析を行ったところ、糸状性のchloroflexi門の細菌がシースに大量に分布していることが示された。この細菌の近縁種には多糖類を分解して発酵を行う細菌が存在することから、この付着菌はThioplocaのシースを炭素源やエネルギーとして利用している可能性が考えられた。現在のところ、特異的付着菌の生理学的特性は不明であるが、硝酸蓄積硫黄酸化細菌の生存戦略の解明につながる結果であると考えられた。
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