研究課題/領域番号 |
11111218
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 川村学園女子大学 |
研究代表者 |
秦野 悦子 川村学園女子大学, 文学部, 教授 (50114921)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 語用論 / 発話意図 / 会話維持 / 言語入力 / 縦断観察 / 幼児期 / 母子相互交渉 / 関連性理論 |
研究概要 |
本報告では養育者が遊ぴ場面で子どもに対して、どのように会話を構造化しようとし、どのような対話者であろうとするのか、また会話における子どもの発話意図をどのように援助するのかという視点で母子観察データーを分析した。特に会話の構成や展開に注目し、会話参与者がどのように各発話に方向づけ(orientation)を行うか検討し、幼児の会話維持における言語入カの役割を検討した。健康な第1子とその母親を10組を分析の対象とし、12カ月、18カ月、24カ月、30カ月、36カ月、60カ月時の母子遊ぴ場面15分間を観察資料とした。その結果、(1)隣接発話対で提示されたおとなの伝達意図に気づくのには3歳以降だった。2歳以前に子どもがこの様な特殊な言語フォーマットに参加していなくても、母親は隣接発話対の第一ペアとなり、さらに対話を維持するために第二ペアとしての役割を完壁に果たした。(2)母親の発話が「トピック設定」「トピック発展」という拡張した応答を行い、言語獲得のガイダンスを子どもに与えるという結果をみいだせなかった。むしろ母親は「トピックを維持」することによって注意の焦点化を導き、意味の共有過程を保つことにより興味をもっていた。(3)養育者は子どもと同一の局面にいる他者として、子どもの発話意図を明確にしていくことに貢献していた。養育者は積極的に会話のきっかけを作ることに貢献した。また応答における養育者の発話内容は、感情交流を基本としメッセージの共有に焦点化されたものであった。つまり子どもは会話において、形式的に整っているわけではないが、自分の行為や発話に関連性の高いことばを繰り返し聞くという経験を持ち言語と認知的関連性が探しやすい状況を与えられた。今後、会話維持における子どもの貢献についての問題が検討課題とされた。
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