研究概要 |
本年度は,本研究代表者に提出したとおりに,二つの研究テーマを設定した。その一つは,日本文化の起源を知る上で重要な神話要素などの,主に東アジア地域における空間分布図を体系的に蒐集した後,それらをWEB上にどのように公開するか,の研究であった。もう一つは,日本文化の研究に関する,主に欧米の研究者による研究成果やその動向を調査することであった。第1番目から報告すれば,幸いにもアメリカへの出張を許された機会に,これまで知ることの出来なかった欧米など世界各地で公表された。当該空間分布図を多数蒐集することが可能となった。日本や韓国・中国などの東アジアで公表されたものを合わせれば,その数は100を優に超えるものとなった。これらは考古学・民族学・民俗学などの研究成果であるが、それとともに時代的に空間分布図の変化までもが観察できるように,各研究者に提供できる試料となりつつある。これらは本研究の最終年度に,すべてWEB上で公開する予定である。なお共同研究者の岩佐昌あきは,中国各地に点在する少数民族が語り伝える神話の収集と,その分析に従事した。またもう一つの,「海外から見た日本文化の起源」研究であるが,欧米の研究の網羅的蒐集を試みた所,菅見の範囲では約60近くの関係論文が公表されている。言語をめぐる起源論争がその多くであるが,古くは1879年に発表されたAston. W. Gの論文から本年に至るまで,直接間接に当該研究課題に関連する論文が発表されてきている。そのListは本研究の最終年度に提出する。 興味深いのは,日本人が何時成立したか,という疑問が繰り返し提出されていることである。そしてこれらの研究を通して新たに,今後,言語分布図に各種の民俗学的分布図を重ね合わせてみる,という着想を得たことである。これらの研究の総決算は,最終年度に報告することとしたい。
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