研究概要 |
1900年代初期から1950年代に近畿地方で発生した被害地震のアナログ地震記象をディジタル化し,現代的地震波形解析手法を用いてこれらの地震の震源メカニズム,震源過程,地震モーメント,マグニチュードを決定した。平成11年度に扱った地震は次の地震である。1899年(明治32年)紀伊半島南東部地震,1905年(明治38年)芸予地震(近畿地方の地震ではないが,これまでの解析の途中であった),1935年(昭和10年)台湾地震(新竹・台中両州烈震)(1999年台湾地震との比較のため解析),1936年(昭和11年)河内大和地震,1945年(昭和20年)三河地震(1944年東南海,1946年南海道地震との比較のため調査),1952年(昭和27年)吉野地震,1952年(昭和27年)十勝沖地震(これまで解析の途中であった)。この中で1952年十勝沖地震(M8.2)について震源過程のインバージョンにより,モーメント解放の詳細な時間的・空間的変化を推定することが出来た。他の地震については震源メカニズム,震源過程の傾向,地震モーメント,マグニチュードの推定を行った。スキャナー(カラー)を用いたアナログ波形の自動ディジタル化,円弧補正,地震計検定インパルス波形からの地震計特性の推定等の今後のこの種の研究・調査に必要・不可欠な計算機プログラム(WindowsおよびMac用)の開発も行った。原記録は白黒のすす書記録であっても,カラーイメージでスキャンすることにより原記録を高い精度で復元できることが明らかになった。現在気象庁が行っている写真撮影よりも復元精度が高いと思われる。またA3サイズのスキャナーの使用により複写波形の歪みも最小限におさえられ,この点でも気象庁による写真撮影によるマイクロフィルム化よりも本研究で使用したA3カラースキャナーによるディジタル化が勝れている。
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