研究課題/領域番号 |
11116207
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
樋口 恒彦 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (50173159)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | シトクロムP450 / NO合成酵素 / チオレート / ポルフィリン / X線結晶構造解析 / 共鳴ラマン分光 / 酸化反応 / 触媒 |
研究概要 |
シトクロムP450およびNO合成酵素(NOS)の活性中心のヘムの軸配位子が共通してシステインのチオレート(S)であることはヘム酵素として特異であるが酵素化学的にはこれらヘムーチオレート酵素の強力な反応性とその構造的特徴との関連は未解明であった。また近年P450およびNOSにおけるS原子へのNHの水素結合の存在が明らかになったがこの水素結合が反応性に及ぼす影響は未解明なためNH-S水素結合を有し且つ反応性の検討可能なアルカンチオレート配位モデルの構築を行い検討を加えた。SR錯体の構造にS原子に水素結合を形成し得る位置にアミドのNHをリンカー部分に導入した錯体(SR-HB)を設計し合成を行った。SR-HB錯体ではソーレ帯吸収が他より短波長シフトしていた。SR-HB錯体のX線結晶構造解析を試みたところ解析に成功した。構造はほぼ予想通りでありFe-S結合距離は2.18Åと合成錯体としてはP450自身に最も近かった。また、NH…S間距離は2.7Åであり水素結合の存在を示唆した。次にFe-S結合次数の比較を共鳴ラマン分光を用いて行った。その結果合成ヘムチオレート錯体として初めてvFe-S modeを観測し、SR-HBがSRより28cm^<-1>高波数であったことから、水素結合によりFe-S結合の結合次数が高まったと考えられた。SR-HB錯体の触媒的酸素活性化能をSR錯体等と比較検討するために、活性種の反応性を鋭敏に反映するアルカンーオレフィン競争反応をmCPBAを酸化剤として行った。その結果、SR錯体はイミダゾール配位やクロル配位ヘムに比較し10倍アルカン酸化を優先したがSR-HBではややアルカン酸化比率が低下し、活性種が求電子性がSRに比べて高まっていることがわかった。 以上精密なモデル錯体の合成に成功し、酵素機能解明に寄与する生物無機化学的研究を行い得た。
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