研究課題/領域番号 |
11116220
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
箱嶋 敏雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (00164773)
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研究分担者 |
岡田 健吾 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (60304169)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ヘム / 抗酸化蛋白質 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
本研究は、活性酸素によるストレスから身を守る生体内抗酸化システムに関与し、さらに最近の報告により細胞内情報伝達にも関わるとされる抗酸化蛋白質HBP23の立体構造を原子分解能で決定することにより構造化学的な検討を行い、ヘムとの相互作用を初めとして抗酸化システムや細胞内情報伝達に関しても明らかにすることを主題とするものであった。今年度中に達成できた研究結果は次の通りである。HBP23が分類される2-Cys Prxと呼ばれる抗酸化蛋白質群において、最初の立体構造解析(2.6Å)に成功し論文発表をした(Pro.Nat.Aca.Sci.96,12333-12338)。その後、さらに高分解能(2.1Å)での構造解析を行った。一次構造上離れている2つの活性システイン残基(Cys52,Cys173)は、酸化型結晶を用いた構造解析から、二量体を形成する相互作用領域に位置し分子間でジスルフィド結合を形成している事を明らかにした。この分子間ジスルフィド結合は非常に珍しい例である。また、Cys52とCys173を含む活性部位周辺の分子表面は非常に疎水的で、生体内で反応する標的蛋白質チオレドキシンの分子表面も疎水的でその形状も相補的であることから、疎水相互作用を主な親和力とすることが示唆された。さらに、疎水表面にあるアミノ酸残基からヘムと相互作用可能なものを類推した。HBP23の活性中心を調べた結果、1-Cys PrxのhORF6と全体構造はチオレドキシンフィールドを持ち非常によく保存されているが、活性システイン(Cys52)の位置が異なることが分かった。これらの結果から一連の反応機構を提案した。還元型結晶の作成を行いデータ収集を試みているが、現在までに高分解能のデータは得られていない。情報伝達に関与する蛋白質の合成ペプチドとの複合体による解析も進行中である。
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