研究課題/領域番号 |
11116231
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)山形県企業振興公社(生物ラジカル研究所) |
研究代表者 |
吉村 哲彦 財団法人 山形県企業振興公社, 生物ラジカル研究所・化学第一研究部, 部長 (70271517)
|
研究分担者 |
藤井 敏司 財団法人 山形県企業振興公社, 生物ラジカル研究所・化学第一研究部, 研究員 (80271518)
|
研究期間 (年度) |
1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 一酸化窒素 / 生体内一酸化窒素 / トラップ / ニトロシル鉄錯体 / 電子スピン共鳴 / ジチオカルハメート / ジニトロシル鉄錯体 |
研究概要 |
生体内で産生されたNOを結合した単純な構造を持つニトロシル非ヘム鉄錯体が2種類知られている。一方は、NOを2個、チオレートを2個配位したdinitrosyl dithiolato iron complex(DNIC)であり、特徴的な電子スピン共鳴(EPR)スペクトルを示すことが知られている。マクロファージ中で生成されたNOは、アコニターゼ等の鉄一硫黄蛋白質と反応して、活性を阻害し、DNICに起因するEPRスペクトルを示すことが報告されている。また、DNICはNOの生理的なcarrier moleculeまたはdonor moleculeとして機能していることも報告されているが、その構造や性質および生体内における動態等は明らかにされていない。他方は、NOを1個配位したmononitrosyl iron complex(MNIC)で、ジチオカルバメート鉄(Fe-DTC)錯体を生体内NOの捕捉試薬として使用した場合にin vivoおよびin vitroで生成される。このMNICも特徴的なEPRスペクトルを示すので、Fe-DTC錯体は有用なNO分析試薬として多用されているが、捕捉機構については不明な点が残されている。 1.グルタチオンを含むDNIC(DNIC-(GS)2)を合成し、得られたDNICの体内挙動をin vivo EPR法により検討した。その結果、(1)DNIC-(GS)2は血液中より速やかに肝臓・腎臓へ移行した後、長時間安定に存在した。臓器のEPRスペクトルは、DNIC-(GS)2が組織中で構造変化することを示唆していた。この構造変化は、DNIC-(GS)2中のGS-が生体内で低分子のチオール類またはタンパク中のチオールと置換することによると考えられる。(2)生きているマウスを対象としたin vivo EPR測定によって、DNIC-(GS)2の上腹部への集積がリアルタイムに観測された。(3)DNIC-(GS)2はマウスの生体内でFe-DTC錯体にNOを供与することが明らかとなった。この結果は、生体内で産生されるDNICが、金属酵素・金属蛋白質をNOアクセプターとしてNO基を供与することを示唆している。2.Fe-DTC錯体による生体内NOの捕捉・検出を試みた。(1)脳内のNOをFe-DTC錯体を用いて捕捉することに成功した。(2)血管拡張薬投与により生体内で産生されるNOをFe-DTC錯体によって検出し、画像化した。3.NOトラップ試薬としてのFe-DTC錯体の生体内NO捕捉機構には新規な還元ニトロシル化反応の関与が明らかとなった。
|