研究課題/領域番号 |
11116232
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
遠藤 勲 理化学研究所, 生化学システム研究室, 主任研究員 (00087470)
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研究分担者 |
養王田 正文 東京農工大学, 工学部, 助教授 (50250105)
尾高 雅文 理化学研究所, 生化学システム研究室, 研究員 (20224248)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ニトリルヒドラターゼ / 一酸化窒素 / 翻訳後修飾 / 非ヘム鉄 / システインスルフィン酸 / システインスルフェン酸 / 光応答性 / 金属置換体 |
研究概要 |
1.翻訳後修飾を含まない組み換えαサブユニットから酵素をAr雰囲気下で再構成した。再構成体は酵素活性を示さないが大気中に移すと酵素活性を生じた。また、空気酸化によってCys112がシステインスルフィン酸(Cys-SO2H)に修飾された。再構成体の活性化と翻訳後修飾の相関から、Cys112がCys-SO2Hに修飾されることが酵素活性に必須であることが判った。次に、NHase遺伝子下流に存在するNHase activator遺伝子を除去した組み換えNHase発現系をコバルト添加培地で培養し、コバルト置換鉄型NHaseを発現させた。コバルト置換体はネイティブな鉄型及びコバルト型酵素と大きく異なる吸収スペクトルを示し、翻訳後修飾を持たなかった。しかしながら、酸化剤を加えるとネイティブコバルト型と同様なスペクトルに変化し、Cys112に翻訳後修飾を生じた。また、それに相関して酵素活性が増大した。このことは、コバルト置換体においても修飾が活性に必須であることを示しており、またNHase activatorは金属原子の挿入及び電子状態の変化、翻訳後修飾の生成に関与することが示唆された。 2.PEG6000を沈殿剤とし活性型酵素の結晶化し、モノクリニック晶系の結晶を得た。SPring-8大型放射光施設によってデータ収集を行い、1.5Å分解能で立体構造を決定した。得られた立体構造は不活性型と殆ど同一で光活性化の前後で大きな構造変化はないことが確認された。しかしながら、不活性型ではシステインスルフェン酸(Cys-SOH)に修飾されているCys114がCys-SO2Hに酸化されており、酵素活性はネイティブ酵素の1%未満に減少していた。酵素・基質アナログ複合体についても、同様な結晶を得たが、やはりCys114はCys-SO2Hとして存在していた。現在、酸化のおこらない結晶化条件を検討中である。 3.不活性型の結晶構造から翻訳後修飾残基と水素結合すると考えられるβサブユニットの二つのArg残基をLys,Glu,Tyrに置換した変異体を作製した。いずれの場合も酵素の安定性が著しく減少し、酵素活性はLys置換体のみ野生型の1-2%を示し、他の変異体は酵素活性を示さなかった。このことから、これらのArg残基は翻訳後修飾を受けたCys残基測鎖との水素結合を介して酵素を安定化し、酵素活性の発現に重要な働きをすることが確認された。
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