研究課題/領域番号 |
11118236
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小久見 善八 京都大学, 工学研究科, 教授 (60110764)
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研究分担者 |
稲葉 稔 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80243046)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 走査型トンネル顕微鏡 / リチウム二次電池 / 遷移金属酸化物 / リチウム挿入脱離 / その場解析 / レーザーアブレーション / 薄膜 |
研究概要 |
スピネル構造を持つLiMn_2O_4は安価で毒性も低く次世代のリチウム二次電池の正極材料として注目されているが、充放電を繰り返すとともに充放電容量が減少するという大きな問題点がある。LiMn_2O_4を正極材料として用いるためには、その劣化機構を解明し、それをもとに劣化を抑えるための指針を得ることが重要である。本研究では、LiMn_2O_4の薄膜をレーザーアブレーション法で形成し、その電気化学的リチウム脱離挿入特性を明らかにするとともに、電気化学走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、電気化学的にリチウムを脱離挿入させた時の表面形態変化を観察し、その劣化機構を明らかにすることを目的とした。 レーザーアブレーション法で作製した定比組成の薄膜(Li/Mn=0.51)のサイクリックボルタモグラムのピークはサイクル数を重ねるにつれてブロード化するとともにピーク電流値が大きく減少した。また、STMによる形態観察の結果20サイクル後には直径120〜250μmの微小球状粒子が多数観察された。サイクルを重ねるにつれ、粒子数は増加する一方で、その粒径は減少した。さらに3.50〜4.09Vおよび4.04〜4.25Vの電位領域でサイクルさせ、同様の観察を行ったところ、微小粒子の生成は4.04〜4.25Vの高電位領域で起こりやすいことがわかった。一方、リチウム過剰組成(Li/Mn=0.52)の薄膜のサイクリックボルタモグラムは量論組成のものと比べてブロードであったが、サイクルを重ねてもきわめて安定でありサイクルに伴うさらなるブロード化はほとんど見られなかった。充放電サイクルに伴う表面形態の変化もほとんどなく、75サイクル後に於いても微小粒子の生成は見られなかった。従って、定比組成の薄膜のサイクルに伴う劣化は、観察された微小粒子の生成と密接な関係があることが明らかになった。
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