研究概要 |
1金属リチウム界面に対する電解液の温度効果 LiPF_6を電解質塩として用いた場合,低温(-20℃)で充放電サイクル処理すると界面インピーダンスが極めて減少した。また,リチウムイミド電解質(Li(C_2F_5SO_2)_2N,以下LiBETI)を含む低温のPC/DMC電解液中では非常に平滑なリチウム析出が観測され,放電深度10%では350回以上のサイクルが可能になった。スタック圧を電極に全く掛けていないにも関わらず,この値が得られたことは注目できる。また,この電解液では高温(50℃)においても室温に匹敵するサイクル寿命が得られ,この電解液は一定温度条件のサイクに適していることが判った。 2金属ヨウ化物添加剤による界面構造の制御 LiPF_6電解質塩を用いた場合,MgI_2添加では充放電効率が改善されたがAlI_3添加では効率がかえって減少した。この場合界面での溶媒のフッ素化が顕著に認められ,LiPF_6の分解が確認された。一方,イミド塩(LiBETI),溶媒としてPC/DMCを用いた場合どちらの添加においても95%の高い効率を示した。このときの界面には添加剤金属とリチウムとの合金化による塊状の構造が認められ,デンドライト状の形態は見られなかった。このように界面を変化させたことで充放電効率が改善できた。実用電解液を考慮すると,添加剤の自己放電誘発が懸念される。そこでこの種の添加剤を含む電解液を初回充放電のみに用い,実際の繰り返し充放電は無添加の電解液(PC/DMCwith LiBETI)で行った。その結果,興味深いことに常時添加剤を加えている電解液に比べてもあまり効率の低下は起こらず,初回の添加剤処理だけで高効率が発現することが判明した。なお,電解質塩がLiPF_6の場合はこのような添加剤による前処理効果がなく,電解質塩に依存する点も興味深い。
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