研究概要 |
酸化チタンなどの半導体は,光半導体電極反応を利用して光エネルギー変換デバイスや光触媒などに利用可能であり,幅広く研究されている。光半導体電極反応のキーステップは,半導体界面における光吸収による電荷分離過程と,それに続く界面近傍の分子との電子移動反動である。このような反応のダイナミクスに関する研究は,これまではマクロスコピックな手法によるものが中心だった。本研究ではナノスケールの界面を作製し,微小領域での電子移動反応を解明することを目標としている。今年度は,電子線リソグラフィーにより酸化チタン単結晶表面にレジストパターンを形成し,このパターン上にこれまで行ってきた光電気化学の手法で白金を担持することにより,白金担持のメカニズムとその分解能について検討した。 まず,レジストの円形パターンを形成しその中心付近に集光レーザー光を照射した場合,白金粒はレジストが付着している部分には現れず,その外側のレジストが付着していない部分に担持された。この白金形状およびサイズの解析から,光照射によって生じた伝導電子の拡散が白金担持に寄与していることが示唆された。また,レジスト膜に微細パターンを形成し,その周辺に一様に水銀ランプを照射した場合も,白金はレジストの付着していない部分にのみ担持された。すなわち,白金パターン形成の分解能は光の回折限界には制約されず,電子線リソグラフィーで作製するレジストパターンによって決定される。本研究では最小で40nm程度の分解能で白金パターンを担持することに成功した。
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