研究課題/領域番号 |
11118256
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高原 淳 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (20163305)
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研究分担者 |
佐々木 園 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40304745)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 有機シラン単分子膜 / タンパク吸着 / 相分離構造 / 原子間力顕微鏡観察 / 表面構造 / 表面親疎水性 / 金電極 / 表面プラズモン共鳴(SPR) |
研究概要 |
本研究では、種々の表面特性を有する有機シラン単分子膜表面へのγ-グロブリン(lgG:等電点、pl=6.4-9.0)の吸着挙動を表面プラズモン共鳴(SPR)および原子間力顕微鏡(AFM)観察に基づき検討し、材料表面-タンパク質間の相互作用機構を解明することを目的とする。オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、パーフルオロオクチルエチルトリクロロシラン(FOETS)はラングミュアー・ブロジェット法により調製した。SPR測定によりlgGは、各単分子膜の表面に接触後、直ちに吸着し、10分程度で吸着平衡に達することが明らかになった。pH=4.7の場合には、pH=7.5の場合と比較して各単分子膜表面へのlgGの吸着量が低下した。lgGの等電点近傍のpH=7.5の場合、lgGは電気的に中性であり、単分子膜表面へ密に吸着することができるため、高い吸着量を示すのに対し、等電点以下のpH=4.7の場合、lgG分子は正に帯電していることから、既に吸着しているlgGとの静電反発によりpH=7.5の場合と比較してlgGの吸着量が低下したと考えられる。表面自由エネルギーの異なる相分離構造を有する(OTS/FOETS)混合単分子膜表面へのlgGの吸着状態を検討するため、AFM観察を行った。pH=7.5の場合、lgGはOTS、FOETS両相に吸着したのに対し、pH=4.7では、lgGはマトリクスであるFOETS相へ選択吸着した。pH=4.7で選択吸着が観察されたのは、OTSおよびFOETS相の表面自由エネルギーの差と静電反発に起因すると考えられる。すなわち、OTS相と比較して、lgG溶液との界面自由エネルギーがより大きいFOETS相へlgGが吸着した方が系の界面自由エネルギーの極小化の観点から有利であること、さらに吸着条件がlgGの等電点以上であることからFOETS相に吸着したlgGと溶液中のlgGの間に静電反発が起こるためと考えられる。
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