研究概要 |
本研究では、超高真空中、極低温に保持したPt(111), Ru(0001) 表面上に水分子を吸着させたときの水分子の吸着構造を明らかにし、ついで、SO_3やHCL, O_2, COなどの分子を水とともに共吸着させて得られる表面構造が現実の電極表面二重層構造をどこまで再現させることができるかについて行った。ついで電気二重層における水和水分子が果たす役割、界面における電子移動、プロトン移動によるローカルな仕事関数変化を考察することにより、ポテンシャルドロップや電極電位に関する検討を行った。 UHV中のモデリング実験で、吸着硫酸種+H_3O^+の被覆率を変化しても仕事関係値(電極電位の変化に対する寄与)の変化がないことを、明らかにした。したがって、電極電位の変化と最も直接的な因果関係にあるのは、吸着層近傍の水分子の配向変化であるということになる。したがって、電極電位と水分子(H_2O, H_3O+, OH^-, O^2)の吸着、配向変化の間には1:1の対応関係があると結論することができる。Ru(0001)表面では比較的Ru....H_2O結合が強くモノマーとして存在している。モノマー吸着水も77Kの昇温により、合体してダイマー、テトラマーとなる。170Kに昇温すると解離してOHを生じる。逆にAu(111)表面では、水分子と金原子との結合が著しく弱く20K以上の温度範囲で小さな水クラスター分子は全く存在しない。
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