研究課題/領域番号 |
11118269
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中井 浩巳 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (00243056)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | STM / 電極表面 / 電極反応 / 理論的研究 / 非経験的分子軌道法 / 無電解鍍金 / 還元剤 / 触媒作用 |
研究概要 |
STMによる表面の観察は、これまで現象論的な理解が先行していた電極反応において、基礎的な理解を与える手段として期待されている。しかし、これらの解釈には、表面-探針間の相互作用を考慮する必要がある。そこで本研究では、電極表面のSTMシミュレーションを行い、正しい理解を理論的に与えることを目指した。まず、Bardeenの摂動論に基づくSTMシミュレーションプログラムを開発し、これを金表面に吸着した硫酸イオンに適応した。その結果、印加電圧が小さい場合には硫酸イオンに対応するSTM像が得られないが、ある電圧を境にSTM像が見えることがわかった。その場合、原子レベルの分解能はなく、硫酸イオン全体で一つのスポットとなることも示された。次に、電極表面反応の一つとして無電解鍍金を取り上げ、その反応機構を理論的に検討した。その結果、ジメチルアミンボランや次亜リン酸などの還元剤については、脱水素より水酸基の配位が先行して生成される5配位化合物を経由することが示された。還元剤の酸化反応は溶媒の誘導率が増加するとともに進行しにくいことも示された。これは、還元剤が極性溶媒中では自発的に酸化されないが、バルク溶液に比べ誘導率が小さい電気二重層中では酸化されやすくなっていることを示している。さらに、表面上では反応全体が発熱的であることより、析出金属の自己触媒作用により還元剤の酸化が起こりやすくなっていることが理論的に示された。
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