研究概要 |
1 重合触媒挙動に対する配位子の置換基の効果を評価するために、種々のタングステン錯体,W(RC≡CR){E(6-R'-4-MeC_6H_2O)_2}X_2(R=Ph,Et;R'=^tBu,Me;E=S,Te;X=CH_2SiMe_3,Cl)を系統的に合成し、それらの構造を明らかにした。 2 それらの錯体の金属中心の幾何構造がC_SからC_1へ異性化する過程を詳細に検討し、同じ組成の錯体で両方の異性体の構造を初めてX線単結晶構造解析により明らかにした。 3 それらの錯体からの、触媒活性種であるアルキリデン錯体の発生をNMRで観察した。 4 それらの錯体を触媒前駆体とするノルボルネンの開環メタセシス重合(ROMP)では、配位子上の置換基が嵩高くなるに連れてシス特異性と触媒活性が向上する傾向が見られ、配位子上の置換基が触媒の立体特異性を制御していることが示された。 5 テルル架橋キレートアリーロキソ配位子を持つ錯体,W(PhC≡CPh){Te(6-^tBu-4-MeC_6H_2O)_2}Cl_2,にMg(CH_2SiMe_3)_2を助触媒として加えた触媒系では、対応する硫黄架橋錯体触媒系とは異なり、トランス二重結合を多く含むポリノルボルネンを与えることを見いだした。 6 嵩高いキレートアリーロキソ配位子を有するタングステン錯体,W(η^2-PhC≡CPh){S(6-^tBu-4-MeC_6H_2O)_2}(CH_2Ph)_2,を触媒に用いることにより7-オキサベンゾノルボルナジエンのROMPが進行し、ヘキサン不溶ポリマーとヘキサン可溶オリゴマーが生成した。ヘキサン可溶部は直鎖状オリゴマーを含まず環状二〜四量体からなることが質量分析により示された。
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