研究課題/領域番号 |
11119247
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
深澤 義正 広島大学, 理学部, 教授 (50004502)
|
研究期間 (年度) |
1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | フラーレン / カリックス[5]アレンホスト / 超分子錯体 / エントロピー / 溶媒効果 / 溶媒和 / 脱溶媒和 |
研究概要 |
フラーレンは特異な形状をもち、電子受容体として作用することから、その超分子はさまざまな興味ある性質をもつことが期待される。本研究ではカリックス[5]アレンをホストに用いてフラーレン系超分子錯体について研究した。超分子錯体形成の熱力学解析によるとエントロピーとエンタルピーの間に補償則が働いていることが明らかとなった。一般に独立に液中を運動している2分子が錯体を形成すると、一方の分子における運動の自由度が束縛されるため、エントロピーが負になることが普通に観測されるが、トルエン中での錯体生成の場合はこれが正になり、錯形成に際して運動の自由度が増大する特異な現象を観測することができた。トルエン中では溶媒であるトルエン分子がフラーレンの周りを取り囲んでいるが、両者の相互作用が比較的強く、フラーレン分子が周辺の溶媒分子の運動を束縛している。しかし、カリックス[5]アレンホストにフラーレンが包接される際には、これらの溶媒分子が脱溶媒和して、バルクの溶媒として挙動するため運動の自由度が回復するため、この寄与が錯形成に際して一方の分子における運動の自由度を束縛する効果に勝ったために、このような興味ある現象が発現したと解釈できる。その証拠に、フラーレンとの相互作用が小さなクロロフォルム中では、錯体を形成する際のエントロピー変化は通常の錯体形成と同じく、負の値をしめした。 このように、有機溶媒中におけるフラーレン系超分子の形成においてはフラーレン、カリックス[5]アレンホスト共に、溶媒和、脱溶媒和が重要な役割を果たしていることがわかり、用いる溶媒が決定的な役割をしていると結論することができた。
|