研究概要 |
ケテン(CH_2=C=0)は古くから有機合成に用いられている重要な反応剤であるが,室温では気体で強い刺激臭が有る上に毒性が強く,しかも容易に二量化する取り扱いにくい反応剤である。一方シリルケテン(R_3SiCH=C=0)は蒸留可能な液体で,二量化することもなく長期保存可能な安定かつ安全な化合物である。我々はこのシリルケテンの効率的合成法を検討すると同時に,複素環化合物の構築剤として応用すべく研究を行ってきた。効率的な合成法の開発については,種々検討したが,残念ながら未だ大量合成に向く方法を見出していない。しかし複素環化合物の合成への応用は,大いに発展し,ユーピラノン,イソクロメン,ユーピリドン類の新規合成法の開発に成功した。更にシリルケテンとニトロンおよびN-アリールイミノトロポンとの反応を検討した結果、オキシインドールの新規合成法ならびに,1-アザアズレン-2(IH)-オン誘導体の新規合成法を,それぞれ開発することに成功した。
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