研究概要 |
両末端に水酸基を有する光学活性ジシロキサンを合成し(Org.Lett.,1,549(1999))、ビス(ジメチルアミノ)シラン化合物と重縮合を行った。得られたポリマーは、光学活性ジシロキサンの立体化学を損なうことなくジアイソタクチックでありかつ光学活性であることがわかった(Macromolecules,in press(2000))。また、光学活性ジヒドロキシジシロキサンとジヒドロジシロキサンの脱水素重縮合により、シンジオタクチックポリ(シロキサン)の合成にも成功した(Macromolecules,in preparation)。 新しい珪素求核試薬として、光学活性シリルリチウムの合成を検討した。光学活性クロロシランと金属リチウムからの直接反応ではラセミ体が得られた。光学活性ジシランの金属リチウムによる珪素-珪素結合切断反応、光学活性シリルスタナンのアルキルリチウムによる珪素-スズ結合切断反応は、いずれも95%以上立体特異的に進行し、光学的にほぼ純粋なシリルリチウムを生成することを見いだした。生成した光学活性シリルリチウムの立体配置の温度および時間による安定性を評価したところ、温度の上昇とともにラセミ化に伴う光学純度の低下が認められたが、THF中、-78℃に保てば、5時間以上放置しても光学純度はほとんど変化せず、合成した光学活性シリルリチウムが新しい求核試薬として、それぞれの原子上に不斉中心を有する珪素-珪素結合や珪素-炭素結合を形成する反応に用いることができることを明らかにした(J.Organomet.Chem.,submitted)。
|