研究概要 |
昨年までのエーテル性側鎖を有するポリシランは, 主に直鎖上の置換基を対象としていたが, 水素結合形成に伴い見かけの立体的な嵩高さの増大が種々のクロミズム挙動の原因となっていることから, より嵩高い置換基を有するポリシランや, アリール性エーテル基を有するポリシランに焦点を当て合成を試みたが, 後者の合成のみ成功した.[Ph-O-CH_2CH_2CH_2-Si-R]nタイプのポリシラン(R=Me, Hex, PhOC3H6-)は,極性が小さくアルコールなど極性の大きな溶媒への溶解性は示さなかった.また, (CF_3)_2CHOH,Cl_3CCH_2OH, CF_3CH_2OH, CF_3COOHにより,期待したソルバトクロミズムは示さなかった.R=-CH2CH2CH2-O-Phのポリシランは溶液状態で非連続型のスペクトルシフトのサーモクロミズムを示したが, 固体状態では大きな熱履歴をもち, スペクトル変化は小さくポリマー分子の可塑性が大きな問題であることが判明した. フェニル基を通じての遷移金属類との相互作用によるクロミズム現象やポリシランの誘導化が期待できるので, その反応を調べている. これらのポリシランの蛍光は,R側鎖長依存性を示すことも興味深い今後の検討課題である.
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