研究課題/領域番号 |
11123205
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
幾原 雄一 東京大学, 工学部附属総合試験所, 助教授 (70192474)
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研究分担者 |
佐久間 健人 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50005500)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ジルコニア / 相転移 / 二次転移 / シミュレーション / 分析電子顕微鏡法 / 逆位相境界 / 変調構造 / スピノーダル分解 |
研究概要 |
ZrO_2-Y_2O_3系のc-t二相域内での熱処理初期段階に形成される層状組織を計算機上でシミュレートした。その結果、この組織は連続的な界面、時間経過によるY^<3+>濃度揺らぎの連続的増大といった特徴を有することが予期された。実際にこれらの特徴をHREM及びTEM-EDSを用いて検証したところ、界面は原子レベルで連続であり、明暗相間でY^<3+>イオン濃度の連続的な変化がおこっていることが明らかとなった。また、熱処理時間の増大とともに、Y^<3+>の濃度揺らぎが大きくなる様子もTEM-EDS分析により捉えられた。これらの実験結果はシミュレーション結果と良い一致を示している。このように、理論・実験両面からこの組織がスピノーダル分解によって生じた変調構造組織であることが示され、c-t相転移のモデリングの妥当性が示された。 微細組織形成シミュレーションから、t-ZrO_2単相域内で等温熱処理を施すと、APBに溶質イオンであるY^<3+>が偏析することが予期された。APBへのY^<3+>の偏析は実験的にもZrO_2-Y_2O_3-TiO_2系で確認された。このようなAPBへの偏析現象の起源はAPBがc-ZrO_2に近い構造を取るためであり、c相安定化効果のあるイオンが偏析することで不安定なAPBを緩和していると解釈することができる。ZrO_2-CeO_2系で同様のt-ZrO_2単相域での組織発展の実験を行ったところ、Ce^<4+>はc相安定化効果のあるイオンであるにもかかわらず偏析していなかった。このAPBに対しTEM-EELS分析を行ったところ、APB上とドメイン内部ではCeイオンの電子状態が変化している様子が捉えられた。この変化は価数変化に起因すると考えられ、APB直上においてドメイン内部よりも価数が小さくなっでいる可能性が示された。DV-Xα法を用いた第一原理計算からもCe^<3+>がCe^<4+>4よりも格段に大きなc相安定化効果を持つという結果が得られており、このAPBはCeイオンの価数変化により偏析することなく安定化されている可能性がある。
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