研究概要 |
合金組成の不連続性に起因する化学的駆動力に支配された界面・粒界拡散律速型の固相変態の一般的な特徴を理解するために,Cu-Ni二元系における拡散誘起再結晶(Diffusion Induced Recrystallisation,略してDIR)をモデル反応として選定し,DIRによって生成する合金化微細再結晶領域(DIR領域)の成長挙動を実験的および解析的に検討した。すなわち,純度99.99%の純Cuおよび純度99.97%以上の純Niを溶解原料として,真空雰囲気中において黒鉛ルツボを用いたBridgman法により種々の結晶方位を持つ純Cuおよび純Niの単結晶を作製した。これらの単結晶を組合わせたCu/Ni拡散対を準備し,真空雰囲気の石英管中において723〜973Kの温度範囲で最長200h時効加熱処理した。時効加熱拡散対を接合界面に垂直な断面で切断し,画像処理コンピュータ(申請)を接続した微分干渉型光学顕微鏡や透過型電子顕微鏡を用いて金属組織を観察し,冷却水自動循環システム(申請)を接続して終夜運転化したX線マイクロアナライザーを用いて各成分の濃度分布を定量した。その結果,Ni側へ向ってDIR領域が成長する900K程度の高温度域では微細再結晶粒はCu単結晶との平行方位関係を継承するが,Cu側へ向ってDIR領域が成長する800K程度の低温度域では微細再結晶粒とCuおよびNi単結晶との間に特定の方位関係は成立しないこと等が明らかとなった。
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