研究概要 |
格子定数を精密に決定するためにボンド法と呼ばれる方法で格子定数aを決定する。主として反射対はCahnの指数の(4/8,8/12,0/0)(0/0,4/8,0/0)をもちいた。格子定数α_<6d>の結果は以下の様になります。測定した温度は約180Kから370Kの範囲だったが,直線的な格子定数の変化しかみられず,格子定数の温度依存性の直線はT℃で,α_<6d>=0.000206T+12.62Åとなり,0℃での線膨張率は,16.3×10^<-6>で,その成分の加重平均した値よりも多少小さいという結果が得られました。 室温におけるAlの線膨張率は,23.1×10^<-6>,Cuの線膨張率は16.5×10^<-6>,Feの線膨張率は11.8×10^<-6>です。この結論は準結晶の成分の加重平均に極めて近いが,少し小さな値を持っている。その値から考えると、当然の結果であるかもしれないが,ある意味で異常である。準結晶はAlとかCuのような最密構造でなく,準結晶構造を持つためにはアモルファスに近いかボンド結合的な構造であるため,当然準結晶は通常の金属や合金の熱膨張率と違った値を持つと考えられるからである。熱膨張率が構造敏感であることは,水晶と溶融石英の線膨張率の十数倍の違いがあること,また真鍮は銅と亜鉛の線膨張率の平均というより銅の値に近いことから明らかである。 しかし今回の結果の線膨張率に関しては、金属合金結合の構造に近いものだと思われる。 今後の展開としては、さらに高温での依存性を測定する必要がある。というのは高温になるにつれて格子欠陥が温度変化する。格子欠陥数の温度依存性は,その成因モデルに依存するため,線膨張率の温度依存性を測定することで,モデルを決定したい。
|