研究課題/領域番号 |
11123223
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
白井 泰治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20154354)
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研究分担者 |
荒木 秀樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202749)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | マルテンサイト変態 / 陽電子消滅 / NiTi / ニチノール / 相変態前駆現象 |
研究概要 |
これまでTi-Ni系合金のマルテンサイト変態に関して多くの研究がなされているが、マルテンサイト変態前後の電子構造の変化については十分な理解が得られていない。陽電子寿命は、金属や合金の電子密度を直接反映していることから陽電子消滅法を用いれば変態前後の電子状態の変化についてより直接的な情報を得ることが期待できる。本研究では、マルテンサイト変態前後の陽電子寿命をその場測定し、その変化を調べることによって、電子系から前駆現象等についての知見を得ることを目的とした。 Ti-51at%Ni合金を溶製し、1423Kで48h均質化焼鈍を施した。1273Kで7.2ks溶体化処理を施した後、氷水中へ焼き入れた。125〜320Kの温度範囲で陽電子寿命値のその場測定を行った。この際、陽電子寿命値は、マルテンサイト変態を未経験の試料についてR.T.からの冷却過程から始めた。 DSC測定では、冷却・加熱過程において、それぞれただ一つのピークを示し、M_s点は210K、Af点は250Kであった。冷却過程では、M_s点よりかなり高い温度であるR.T.からM_s点まで温度の低下とともに寿命値は大きく上昇し、M_s点付近では最大値を示した。加熱過程では、Af点以後は、温度が上昇するとともに大きく低下した。このように、母相の陽電子寿命値が、マルテンサイト変態に先駆けて大きく変化し、構造相転移が起こる以前に、母相の電子系が先行して変化をはじめることを明らかにした。
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