研究概要 |
(1)準安定β相Ti合金のβ相の分解 (a)β→α変態におよぼすω相生成の影響 準安定β相Ti合金をβ化した後,ウィドマンシュテッテン状α相の生成領域に保持する場合と一度ω相を生成させた後,α相生成領域で変態させた場合のα相の生成挙動の違いを高分解能透過電子顕微鏡により検討した。その結果,ω相と母相の界面はウィドマンシュテッテン状α相の析出核として働き,かつω相がα相に転移するので,α相析出が加速され極めて微細化することを確認した。 (b)β→α"変態におよぼすω相生成の影響 準安定β相Ti合金をβ化したのち,ω相生成させ,続いて氷塩水中に焼入れると,ω相の量が少ない時はα"マルテンサイトの生成が加速されるが多くなると逆にマルテンサイト生成は抑制される。この原因についてω相界面の構造から検討した。 (3)Nd-Fe-Cr-Bアモルファス薄帯の結晶化と磁気特性 低NdのNd-Fe-Bアモルファス薄帯はCrを添加して結晶化させると軟磁性相であるFe_3Bと硬磁性相のNd_2Fe_<14>Bのナノ複合体が形成され,交換結合相互作用により高い飽和磁化とともに保磁力が増大する。そこで,等温保持過程における構造と磁気特性の変化におよぼすCrの効果を高分解能透過電子顕微鏡観察により検討した。その結果,Crが10at%以下では,先ず最初に軟磁性のナノFe_3B粒子が析出し,続いてそれに接して整合に軟磁性のNd_2Fe_<23>B_3粒子が生成する。最後に,これら両相に接して硬磁性のNd_2Fe_<14>B粒子が析出する結果,何れの界面も整合で交換結合相互作用が有効に働き,高い飽和磁化と十分な保持力を示す。しかし,20at%CrになるとFe_2BとNd_2Fe_<14>Bが同時に生成する結果,交換結合相互作用には不利な条件となり,Nd_2Fe_<14>Bによる高い飽和磁化を持つが飽和磁化が低くなることを明らかにした。
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