研究概要 |
0.5〜4mol%イットリアを含むジルコニアセラミックスを,共沈粉末を焼結してえた。その試料を用いて,種々の温度(100〜500℃)で等温保持し,正方晶(T)から単科晶(M)相変態過程を調ベ,以下の結果を得た。 1.イットリア量の少ない試料(0.5,1および1.5mol%Y_2O_3)においては、焼結直後においても,すでにT→M変態がそれぞれ約95%,82%および10%起こっていた。そのほかの試料では,変態は認められなかった。 2.しかし,等温時効するといずれのイットリア量の試料においても時効時間の増加とともにT→M変態量が増し,本変態は等温的に進行することが明らかになった。時効後の飽和M量は,イットリア量の増加とともに減少した。 3.加熱冷却過程で求められたT→M変態の開始温度(Ms温度)は,等温変態曲線から求めたT→M変態のTTT図のノーズ温度以上におけるC曲線によく一致した。C曲線はイットリア量の減少とともに短時間側へ移行した。 4.従って,本T→M変態はイットリア量の少ない場合においても,等温的にすなわち拡散型で進行する事,過去に非等温変態(無拡散)とされてきたのはC曲線が短時間側へよっているためであることが明らかになった。 5.AFM観察の結果,等温保持に伴うT→M変態は,まずT相の粒界に核生成し,ついで粒内へと進展する,さらに,隣接粒へと伝播する事が明らかになった。
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