研究課題/領域番号 |
11123236
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
大庭 卓也 帝京大学, 理工学部, 助教授 (00211110)
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研究分担者 |
中村 真一 帝京大学, 理工学部, 助手 (80217851)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | マルテンサイト変態 / AuCd合金 / 前駆現象 / ソフト化 / 電気抵抗 / X線回折 |
研究概要 |
マルテンサイト変態は古くから鋼の硬化などに利用され、また形状記憶合金としても利用され、工業的に重要である。一方で基礎的な観点に立てば、この変態は一次の相変態の代表的なものとして知られている。本研究ではAuCd合金を用いてマルテンサイト変態のミクロなメカニズムの解明を目的とし、回析実験、電気抵抗測定などをおこなった。AuCd合金は1:1の組成付近で二つの異なったマルテンサイト相を持ち、一つはγ_2'相と言われ、他はζ_2'相と呼ばれている。二つの異なったマルテンサイト相がわずか2%の組成に違いで現れるのでメカニズムの解明には好都合と考えられる。回析実験では、Au-49.5at%Cd について、X線により変態に前駆的な弾性散乱の測定を行った。その結果<11^^-0>* の1/3のところにごく弱い散乱を見出した。Au-47.5at%Cd ではマルテンサイト相に対応したフォノンのソフト化はブリルアンゾーン境界であり、確かにここでソフト化が起こっているが、この他にも[ ζζ0]TA_2 モードのζ=1/3 の位置にもソフト化が起こっている。この系に対するX線による弾性散乱の実験では、ブリルアンゾーン境界の位置には散漫散乱は観察されず、1/3の位置にだけ非対象に散乱が観察された。電気抵抗測定に関してはAu-47.5at%Cd では母相の時効の影響によりMsが次第に下がることが明らかになった。これは中性子散乱実験によって報告されているMsが、電気抵抗により決められ報告されている通常のMsよりも低いと言うことを説明し、最近のAuCdのベイナイトの議論へとつながっている。Au-49.5at%Cd を用いた電気抵抗の実験では母相の時効効果によるMsの低下という現象は見出せなかった。しかしAsの低下が観察された。これらの電気抵抗の測定結果をそれぞれ詳細にMs以上の温度で詳しく調べたが、前駆的と思われる電気抵抗の以上は見られなかった。このことは電子構造には変態に前駆した顕著な変化はないことを意味している。
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