研究課題/領域番号 |
11123239
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)国際科学振興財団 |
研究代表者 |
鈴木 哲郎 国際科学振興財団, 研究開発部, 専任研究員 (70045988)
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研究分担者 |
下野 昌人 金属材料技術研究所, 計算材料研究部, 研究官
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 分子動力学 / B2相 / TiNi合金 / EAMポテンシャル / L-J型ポテンシャル / フォノン分散関係 / 格子振動エントロピー / 変態開始温度Ms |
研究概要 |
分子動力学法を用いて、B2相を母相とするTiNi合金におけるマルテンサイト変態を調べた。用いたポテンシャルはOh and Johnsonが合金に対して、適用できるように構成したEAMポテンシャルおよびLennard-Jones型ポテンシャルである。このEAMポテンシャルはTiNi合金を構成する元素金属であるTiおよびNiの物性を入力パラメターとして用いれば、実質的には付加的なパラメターなしにTiNi合金の物性を予測できる構造になっている。このEAMポテンシャルを用いて、TiNi合金の母相B2の性質はほぼ再現できて、さらにエネルギーが極めて近いマルテンサイト相が存在しえる事まで示せたが、マルテンサイト相と母相とのエネルギー順序を正しく与えるまでの精度は得られなかった。これに対して、原子半径が単一のLennard-Jones(L-J)型ポテンシャルではB2相は安定にならないが、TiNi合金ではTiおよびNiの原子半径が異なる事をL-J型ポテンシャルに取り入れてみると、B2相が安定になるばかりではなく、構造の異なるB2相より低いエネルギーをもつ、少なくとも構造の異なる二つのマルテンサイト相を生成できる事が分かった。さらに、このポテンシャルを用いて、TiNi合金B2相におけるフォノン分散関係を計算し、ナノメーター粒子におけるフォノン分散関係と巨視的大きさの結晶におけるそれとを比較し、これが格子振動エントロピーの自由エネルギーへの寄与を通して、ナノメーター粒子におけるマルテンサイト変態開始温度Msと巨視的大きさの結晶におけるMsとの顕著な相違の原因と深く関連する可能性を示した。
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