研究課題/領域番号 |
11124208
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前田 康二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10107443)
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研究分担者 |
目良 裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40219960)
伴野 達也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70189736)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / カーボン / フラーレン / シリコン / 電子励起 / 内殻励起 / 構造変化 / 重合 |
研究概要 |
sp軌道混成に多様性を有するカーボン系新物質を電子励起を用いて合成できる非熱的ルートが存在することを実証する目的で、走査トンネル顕微鏡(STM)の金属探針を用いて、数eVまではトンネル電流によって、数eVから数百eVまでは電界放射によって、比較的低いエネルギーの電子線をSi(111)7×7表面上にMBE堆積したフラーレン(C_<60>)FCC単結晶膜試料に照射し、照射前後の構造を直接STM観察して電子励起の効果を調べた。その結果、サンプルバイアス電圧V_sと照射電流I_tによって、質的に異なる二種類の構造変化が起こることがわかった。比較的弱い励起条件V_s +5V I_t 0.3nAでは、隣接するC_<60>クラスタ間で光重合と同じ(2+2)シクロ重合が起こったと解釈できる回転凍結したクラスタ(P欠陥と命名)が時間とともに増加する。生成効率が場所に依存すること、Incubation時間が存在し飽和現象を示す事実は、圧縮応力サイトでの不均一核形成を強く示唆する。また、電流注入効果は注入点から10nm程度三次元的に広がることがわかった。いっぽう、強励起条件(V_s +5V,I_t0.3nA)では、巨大クラスタの生成もしくはアモルファス化が起こる。走査トンネル分光で測定した局所状態密度はC_<60>膜に比べHOMO-LUMOギャップの減少を示した。V_s=+310Vで起こるアモルファス化は、炭素の1s内殻励起のしきいエネルギーが290eVであることから、内殻励起を引き金に起こっていることが示唆される。しかし、V_s=+5〜+6Vの低バイアスでも、電流量が0.3nA以上になると、形態上は良く似たアモルファス化が起こり、内殻励起が本質的な役割をしているのかどうか明らかではない。P欠陥の形成と異なり注入電流に非線型に依存する兆候もあり、励起エネルギースペクトルの詳細測定も含めて、今後の課題である。
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