研究概要 |
レゾルシノールとホルムアルデヒドのゾル-ゲル重合および炭酸ガスを用いた超臨界乾燥によってRFエアロゲルが作製できる.このRFエアロゲルを不活性雰囲気で熱分解すれば,高比表面積メソ細孔性カーボン(カーボンエアロゲル)が得られる.しかし,エアロゲルは超臨界乾燥を用いるために製造コストが高くなる.そこで本研究では,カーボンエアロゲルの細孔制御,凍結乾燥によって安価で高性能なエアロゲル状カーボンの作製に検討を加えた.得られた知見は以下のように纏められる. (1)ゾル-ゲル重合においてレゾルシノール,炭酸ナトリウム(触媒),水(希釈剤)の組成比を変化させれば,RFエアロゲルのメソ細孔半径を2.5〜9.2nmの範囲で任意に制御できる.熱分解によって若干収縮が生じるもののRFゲルの紐孔構造が保持でき,カーボンエアロゲルのメソ細孔半径を2.0〜6.1nmの範囲で制御できる. (2)凍結乾燥時にゲル収縮が生じるものの,RFクライオゲルは0.58cm^3/g以上のメソ細孔容積をもつ多孔体である.クライオゲルを熱分解すれば,800m^2/g以上の比表面積,0.55cm^3/g以上のメソ細孔容積をもつエアロゲル状カーボンを作製できる. (3)ゾル-ゲル重合においてレゾルシノール,炭酸ナトリウム(触媒),水(希釈剤)の組成比を変化させれば,RFクライオゲルおよびカーボンクライオゲルのメソ細孔半径を1.6〜7.0nmの範囲で任意に制御できる. ゾル-ゲル重合,超臨界乾燥あるいは凍結乾燥,熱分解によるメソ細孔性カーボンの作製と細孔特性の制御に関して研究を実施してきた.カーボンゲルはメソ細孔性に富んだ興味深い材料である.今後はその特性を生かした用途開発が期待される.
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