研究課題/領域番号 |
11125203
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90133925)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 量子ホール効果 / 2層量子ホール系 / 複合ボソン / 複合フェルミオン / 分数統計 / 巨視的量子コヒーレンス / スカーミオン / 半導体超構造 |
研究概要 |
近年の半導体工学の成果は目覚しく、半導体結合界面に高移動度をもつ2次元電子系の生成を可能にしている。2次元空間にはその位相的性質の特殊性に起因して不可思議な現象が起こり得る。例えば、平面電子は磁場中で磁束と結合してポーズ粒子に転換され単独で凝縮可能になる。具体的には量子ホール状態は単独電子の凝縮状態と考えられる。この結果、量子ホール系には巨視的コヒーレンスが発生し一般に位相的励起が存在する。 スピン自由度を導入した時、昨年度提唱した改良複合ボソン理論に立脚してスピン・コヒーレンスが発生する事を示したのが第一の研究成果である。この様なコヒーレンス系に存在する位相的励起はスカーミオンである。元来、スカーミオンは核子を記述するために導入されたO(4)内部対称性をもつ非可換位相励起であるが、量子ホール系ではO(3)スピン対称性を持つ。スカーミオンは従来知られていた概念であるが、場の理論的に導いたのは初めてである。 2次元電子系を二枚平行に近接して配置する事により強磁場中で2層量子ホール状態を実現できる。上記の解析を2層量子ホール系に拡張し新しい成果を得た。二層の自由度を擬スピンと呼ぶ。スピンと擬スピンの自由度がコヒーレントに絡み合ってSU(4)の自由度が実現し、その励起はSU(4)スカーミオンであることを改良複合理論に立脚して示した。これが第二の成果である。 更に上記の理論的成果を検証するための実験を行なってもらった。実験は東北大学理学部超低温研究施設、同大学電気通信研究所高速知能システム研究施設およびNTT基礎研究所に依頼した。2層系で占有率 υ= 2でSU(4)スカーミオンが存在する傍証を得た。又、2層系で層間コヒーレンスが存在する傍証も得た。 以上の研究成果は、6編の国際的に著明な専門誌に発表し、又、3つの国際会議で発表した。特に、2000年アメリカ物理学会で招待講演を行なった。
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